戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ (2016/5/12)

文字数 1,082文字

2016年4月10日第1刷発行
著者:白井聡
発行:NHK出版



2013年の「永続敗戦論」(太田出版)の衝撃はそのあとずっと永続して僕の政治理論の中核となってきていた。
その白井聡さんの最新作、2015年鹿児島大学での集中講義をベースにしているため、広範な資料とともに理解しやすい構成になっている。

僕の余計なコメントより「はじめに」と題されたご本人の文章を一部下記にご紹介する;

『本書の目的は、完全な行き詰まりに陥った戦後日本政治を乗り越えるための指針を導き出すことです。そのような意味で本書が目指すのは「戦後レジームからの脱却」です。
この言葉は、安倍晋三首相の政策理念として良く知られています。戦後レジームはズタボロになっており、そこから脱却しなければならないことは確かであるので、総理のスローガンは正しい。
しかしながら、安倍首相とそれを支持する人々は、戦後レジームとは結局のところ何であるのか、という本質的を何らかの理由によって理解していないし、理解しようともしないので、このスローガンの正しさは言葉のうえのことだけになってしまいむしろ「戦後レジームの死守」とでも呼ぶべき政策が強行されています。
「戦後レジームからの脱却」は待ったなしの課題として現れています。であるとすれば、私たちが達成すべき本当の意味での「戦後レジームからの脱却」とは何なのか。本書では、これまでの戦後政治の歴史的経緯を振り返りながら実質的には「戦後レジームからの脱却」どころか、その死に物狂いの「堅持」であるような政策方針が、逆に「脱却」と呼ばれるような途方もない混乱が、死に物狂いの「堅持」であるような政策方針が、どうして生じてくるのかを見極めたいと思います。
それを果たすことによって、戦後レジームの本質を十分に理解し、本当の意味での「戦後レジームからの脱却」とはどのようなものかが、わかるはずです。』 以下省略・・・。

《章立て》
序章:敗戦の否認は何をもたらしたか
第一章:五十五年体制とは何だったのか
第二章:対米従属の諸相(一) 「自己目的化の時代」へ
第三章:対米従属の諸相(二) 経済的従属と軍事的従属
   1.経済領域における対米従属
   2.日米安保体制の本質
   3.ポスト安保体制
第四章:新自由主義の日本的文脈
   1.真実雨主義の思想的考察
   2.日本的劣化 -反知性主義・排他主義
   3.「希望は戦争」再び
終章:ポスト五十五年体制へ

アメリカ、ヨーロッパでの右傾化、経済の閉塞感はそっくりそのまま日本の現状であることを知るための入門書。
もうその足音は僕らのすぐそばまで来ている。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み