カルヴィニア 2 誘拐 (2014/10/11)

文字数 633文字

2014年9月15日発行
著者:ジョナサン・ホルト  訳:奥村章子
ハヤカワ・ポケット・ミステリー



地中海の宝石「ヴェニス」を舞台にしたミステリー3部作の第2作が発刊された。
主人公は憲兵隊刑事部大尉カテリーナとイタリア駐留アメリカ軍少尉ホリー、二人の女性。
今回はアメリカ軍少佐の娘の誘拐事件に発する、第二次世界大戦終盤のヨーロッパの凄まじい政治抗争が再現されてくる。
ヴェニスに近いヴィチェンツァ基地はNATOの核戦術基地として冷戦終了まで臨戦態勢にあった。
そのあと何に使用されていたのかというのが、今回ミステリーの核になっている。
そのほかにも、
二次大戦(ヨーロッパ戦線)で最初に反撃・上陸したのがイタリアであった理由、
戦後のキリスト教民主党が汚職まみれの中でも崩壊しなかった理由、
カソリック本山、ヴァチカンの果たした戦後復興力の理由、

イタリアでは過去の秘密が現在の秘密に形を変えることがある…と言われている。
いまだに1万人のアメリカ軍がイタリアに駐留している。
いまだに開示されない秘密協定でその駐留は続き、ドイツからの移転も進められている。
イタリアとアメリカの深い絆・・・・どこかの国と似た構造に違いない。
戦争に負けるということはこういうことなのだろう。
国民国家戦争になってから、
戦争に負けるということは国の主権も尊厳もなくすことになる、それも自らの手で。

このミステリーシリーズは、結構政治的な趣が強い。
現在進行形のイタリアを知る貴重な資料としてのミステリーだともいえる。
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