聖なる酒場の挽歌 (2013/7/4)

文字数 732文字

1987年第三版
著者:ローレンス・ブロック
二見書房 



還暦文庫レビューの大きな特徴はというと;
①再読なのに、その内容をほとんど記憶していない
②其々のタイトルだけはまだ記憶の断片に引っかかっている(そりゃそうだ、すべてを忘却していたら本など読めない)
③再読してみて、いたく感動してしまう
④そして自画自賛・・・「僕の図書選択センスはなんと素晴らしい」

当然今回の「聖なる酒場の挽歌」も、読後に満足の溜息を大きく3回ついたくらいの名作だった。
主人公はアル中探偵と称せられる元刑事「マット・スカダー」。
しかし、僕自身のアルコール摂取状況から鑑みても、アル中はかわいそう…
「飲酒過大による障害」程度のことだろう。
酔っぱらってしまえば、推理したり、格闘したりできるわけもないのだから。
それでも、小説の中ではいろんな酒場、いろんなアルコール類、いろんな酔っ払いが登場する。
僕としては「同病相哀れむ」の視点からも興味が喚起されるのは、
喜ばしいのか悲しむべきなのか?
この点は当シリーズに接するにあたり、ちょっと深遠なテーマになったりする。
世の酔いどれは「マット・スカダーシリーズ」を読むべし!

本作は1976年スタートのシリーズ6作目。
実は今も続いている(17作)長寿ハードボイルドシリーズだ。
1986年時点で10年前の事件を振り返る形式で書かれ、二つの事件の真相を語りながら、
10年前酔いどれていた当時の自分を苦々しく突き放しながら、
それでもその時代を生きた証を懐かしんでいる。
元刑事の酔っ払いが、飲み友達のために探偵の真似事をした結果、
6人の死者を胸の中に取り込んでしまう。
これぞ、ハードボイルドだった。
マット・スカダーシリーズがあと何冊か還暦文庫にあるはず、さそっくチェックしよう。
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