道徳教室 いい人じゃなきゃダメですか (2020/10/15)

文字数 661文字

2022年3月14日 第1刷発行 6月17日 第2刷
著者:高橋秀美
ポプラ社


ノンフィクション作家 高橋秀美さんの手によるルポルタージュ作、近年教育現場から問題提起の多い科目「道徳教育」からスタートして、現代日本の様々な社会現象を「道徳」の視点で切り刻んでくれる。
著者の偏向のない価値観と軽妙な語り口のおかげで、深刻な問題さえも僕の胸の中に抵抗なく呑みこまれていく。著者の強烈なアイロニーに苦笑いながら、そのうちに僕も気づかなかった危機を学習できた(ような気もする)。
入り口である2018年から始まった小学校の「道徳」科目に深堀するかと思えば、そこから著者の興味はどんどん拡大していく。

「みんな」の代表羽生選手、
ゲームのような道徳、
努力はすごい毒薬、
学校はファンタジー教育、
パワハラは成功体験、
モラハラとは道徳のいじめ、
「みんな」にとっていいことだらけのシェアービジネス、
AIロボットも間主観、
ヴァーチャルリアリティは道徳的実在、
スマホは道徳のツール、
道徳は人間を制御するSFプログラム、
セックスしなくてもいい人になる、
地球温暖化は「みんな」の罪・・・。

ルポルタージュであるから、著者のレポートをきちんと受け止めて判断を下すのは読者である僕の責任である、結構大きな責任を感じた。

ご参考まで 著者あとがき から:
道徳とは何か? そのもととなるのは「みんな」ではないかと思います。 自分を正当化するための「みんな」は道徳になり、しまいには正義となって敵に襲いかかります。道徳の原点である「みんな」に立ち返ってみたらどうでしょうか。
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