痴愚神礼讃 (2014/3/29)

文字数 451文字

2014年1月25日 初版
中公文庫
著者:エラスムス  訳:沓掛良彦



カバー裏の宣伝コピーに曰く:
『ルネサンス期の大知識人エラスムスが、友人トマス・モアに捧げた驚天動地の戯文。
痴愚の女神なるものを創造し、人間の愚行を完膚なきまでに嘲弄する。・・・・》

痴愚女神なるものが、その後援者、ファンを集めて自分がいかに重要な神であり、
人間はこの痴愚女神なしでは心の安らぎは得られないことを、滔々と自慢する。
この自慢話が本書すべての構成である。

16世紀の支配者層、王侯貴族、教皇をはじめとする宗教界をめった切りにする痛快さは
現代人にも明快に理解できる。
知恵を持ち崇高な理論を考える苦労で命を縮める賢者なんかより、
責任を取らずに好き放題する痴愚者の方が人生を楽しんでいる…と言う。
それらの実例がギリシャ神話をはじめとする膨大なラテン語学から紡ぎだされ、
実際に本文と同量の「注」がついているくらいである。
確かに読みやすい内容ではないが、風刺文学の古典名作として賞味させていただいた。
人間の愚行と狂気は21世紀にも変わらず。
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