春にして君を離れ (2013/12/20)

文字数 419文字

1973年初版 1986年14版
著者:アガサ・クリスティ
訳:中村妙子
ハヤカワ文庫NV



犯罪もそして探偵も登場しないクリスティ小説6編の一つ。
ストーリーはイギリス中流階級の主婦の心の葛藤を、
その自己矛盾を鋭くえぐることで人間の弱さを賛美する…
と勝手に受け取っている。

主人公ジョ-ンは娘の嫁ぎ先バグダッドから帰国途中、
鉄道の宿泊所で列車待ちのため数日間の滞在を余儀なくされる。
何もすることのないこの間に、彼女は自分自身の心を開き、問いかけることになる。
そこで、今まで自分が無視してきた人生の中の矛盾に気づく。
夫への、子供たちへの悔恨の想い。

このモノローグの描写は、圧巻としか言いようがない。
そして、帰りのオリエントエクスプレスで同乗したロシア貴族の女性に、
本音をぶつける主人公。
人生を反省し、やり直すことはできるのか?
ポアロシリーズとは違う、いやそれ以上のサスペンスが仕込まれている。
タイトルは、シェイクスピアのソネットの一節からの引用である。

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