汚名  (2021/1/9)

文字数 828文字

2020年8月12日 第1刷発行
著者 マイクル・コナリー  訳 古沢嘉通
講談社文庫



「ハリー・ボッシュ」シリーズ最新作
ロス市警を退職し、近郊の小さな町サンフェルナンド市警ののボランティア刑事として働く
ハリー、そこでは主に未解決事件を掘り起こして捜査する毎日だった、いわゆるコールドケース特捜班のようなものだが、たった一人でしかも無給なのである、これこそがハリー・ボッシュの生き様なのだった。

そんな小さな町の薬局で二重殺人が起きる、サンフェルナンド市警ではまず経験したことの無い凶悪事件に、ボランティア刑事ハリーが指揮を執る。
総勢3名の刑事を束ねてロシアマフィアの見せしめ殺人に立ち向かうなか、ハリーは麻薬組織への潜入捜査を指名される。鎮痛剤の受け子には年寄りが適任ということだった、そういまやハリーも65歳になっている、もっともその刑事のパワーは少しも衰えてはいないのだけど。

時を同じくして、ハリーが30年前に逮捕し死刑判決を受けた囚人から、冤罪の訴訟が起きる、その原因はハリーの不法捜査だという、その再調査をするのはハリーがロス市警で組んでいた最後の相棒刑事、指揮するのはDNA を武器にした冤罪再調査検事。
大事な捜査のときに起きたハリーのピンチ、さてどうする。
そしてハリーは異母弟である刑事弁護士ミッキー・ハラー、言わずと知れたリンカーン弁護士に調査を依頼する。

本作は、ハリー本人の危機、悪質な組織犯罪への潜入捜査、無給の未解決事件捜査という3本テーマを並行して描きながら、サスペンスそのものは近年老境のテクニックに到達したマイクル・コナリーのノン・ストップ展開で進んでいく。お約束のラストの大逆転も複数用意されており、残り頁が少なくなるにつれ僕のテンションはいつもの様に上がっていった。

マイクル・コナリー自身65歳、ますますスピードとパワーに溢れた物語がこれからもつづくようだ、これは新型コロナパンデミック下のSTAY HOMEにとって何よりのものだ。
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