ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 (2018/2/26)

文字数 634文字

2017年12月25日 初版発行 2018年2月15日再版発行
ダヴィド・ラーゲルクランツ
早川書房



ミレニアム4が再開されたことに感謝していたら、ミレニアム5が継続された、有り難い。
著者スティーグ・ラーソンの死去で三部作で終わったミレニアムシリーズがラーゲルクランツの手で再開され、加速されてきた。

主人公は言わずと知れたドラゴンタトゥーの女、リスベット・サランデル。
今作では彼女は前作での違法行為のため刑務所に収監されている(誘拐された子供を助けるためだったのだが)。
刑務所内でイスラム女性を守ることから生じるトラブル、
一方彼女の出生、里子にひそむ秘密が解き明かされる中で唯一の理解者であり、
恩人である後見人の殺害、そこには科学の名のもとに行われた非情な実験、
一卵性双生児に関する実験の隠蔽が浮かび上がってくる。
今作のメインエピソードにはスウェーデン上流社会に隠されたその実験の傷跡とその修復に命を懸ける兄弟が登場する。
スェーデンが抱える社会病巣がまた一つ浮かび上がってくる。この手法は、オリジナルシリーズを踏襲するものであるがその物量とスピードはパワーアップされている。
例によって、雑誌「ミレニアム」の花形記者ミカエルが事件を追いかける形で物語は進む。
リスベットの鬼気迫るアクションもしっかりと用意され、ストックホルムの今も浮かび上がってくる。
世界9000万部のベストセラーだからといってそのレベルを侮ってはいけない、
楽しくミステリーの世界に浸ることは今回も保証できる。
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