11・22・63 (イチイチニニロクサン) (2014/1/12)

文字数 913文字

2011年発表、2013年9月初版、2013年12月4版
著者:スティーブン・キング
訳:白石朗
文芸春秋



モダンホラーの巨匠と称せられるスティーブン・キング。
怖いもの嫌いの僕だが、その傾向の割にはキングの作品は比較的読んでいる方だろう。
「シャイニング」に代表される狂気のストーリーはホラーにとどまらないサイズの大きい
世界観を垣間見た覚えがある。

中編集「恐怖の四季」はタイトルとは裏腹に心温まる作品集、
お気に入りである「刑務所のリタ・ヘイワース(映画では「ショー・シャンクの空に」)、
「スタンバイミー」はこの中に含まれていた。

そして本作品【11・22・63】、タイトルが「ケネディ暗殺日」である。
上下各巻、525ページ、2段組みの相当なボリュームを指して描かれているのは
1958年から1963年までの、
懐かしきもおっとりした良きアメリカカントリーライフだ。

ただし、主人公は2011年のアメリカからタイムスリップする高校教師、
そして穏やかであるはずのカントリーライフに立ちおこる残酷な事件の数々。
その主人公はケネディ暗殺を阻止すればその後の世界は良くなる…と信じて過去に戻る。
タイムスリップの方法、その制約はこの物語のキーになっている。
ケネディが生きていれば、世界は良くなったのか?
過去を変えることはそもそもできるのか?
変えられた過去からのバタフライ効果はいかなるものなのか?
SFファンにとっては堪らない展開が繰り広げられることはお約束されている。

しかし、
僕は、主人公の過去の世界での青春物語の方に引き込まれてしまう。
僕のウィークポイントでもある「キャンパスもの」、
教師たち、生徒たち、運動部、演劇部、友情、恋愛・・・スタンバイミーワールドだった。
その一方でケネディ暗殺阻止の準備を進める主人公。
そこで会うオズワルド、その妻、赤ん坊を思いやる中で、世界を救うことの意味を問い返す。

この長編をくまなくレビューすることはできないが、
本作はキングの代表作になることは間違いない。
11・22・63の時 僕は中学1年生だった。
キャロライン・ケネディが日本大使として今の日本にいる。
時間の経過は残酷である・・・
それは僕にも、本作の主人公にとっても。
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