死の天使 ギルティネ (2017/8/31)

文字数 563文字

2017年6月25日 発行
著者:サンドローネ・ダッツィエーリ 訳:清水由貴子
ハヤカワ文庫



イタリアらしい異色のコンビ、殺人課警官と長期拉致監禁されたトラウマを抱えるコンサルタントが繰り出すスピーディな物語展開、
《パードレはそこにいる》に続くシリーズ第2弾が本作 《死の天使ギルティネ》。

女性刑事コロンバは深夜ローマ着の列車、先頭車両乗客全員が死亡している現場に遭遇する。
なにで殺されたのか、誰に、テロなのか、その目的は?
この滑り出しは見事だった、映像作家らしいツカミに第一作の予測不能だった興奮が再熱する。
その一方では、閉じ込められた塔の中で生き抜く少女と仲間・・・全く背景が不明なシーンが挿入される。
ダッツィエーリ得意の展開に嵌まっていく。
ローマ、ミラノ、ベルリン、ヴェニスに拡大された今作は、しかしながらこの映像的展開が
過多すぎた。
刺激が強くなればなるほど、欲求もより大きくなるものだ。
その傾向が続く先には現実感の欠如が待っていた。
しっくりと人間関係を説明しながら、死の天使との対決をも楽しませてくれるサービス精神がちょっと鼻についてくる。
究極の結末として、3作目に突入するところで本作は終わってしまう。
まだ3作目は執筆中というのもいかにも映像向け作家らしい、しかも読まざるを得ないというマーケティングには降参するしかない。
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