日本会議の正体 (2017/3/7)

文字数 1,194文字

2016年7月8日 初版第1刷 8月2日 初版第3刷
青木理
平凡社新書



安倍晋三総理が日本会議に担がれた神輿だという評判、
それも軽い神輿だという揶揄も含めてマスコミが話題にしないまま、
《森友学園》スキャンダル。
その日本会議が森友学園の疑惑とは関係がないことを週刊誌報道に対して弁明しているというニュースが3月5日Yahooニュースが報じている。
ようやく大手マスコミも「日本会議」を取り上げるのだろうか?

おそらく、残念ながらそんな兆候は見られないだろう、「日本会議」はあくまでも密やかに戦前への回帰願望を目指し表舞台には出ないだろう。
本書は1997年に結成された日本会議の源流、現状、その活動原理、安倍政権との共振状況をわかりやすく説明してくれる。
源流は「生長の家」の創始者谷口雅春氏の信奉者たち、ちなみに現在の「生長の家」自体は昨年政治活動から一切身を引いている。
いまの日本会議の主要メンバーは「生長の家 原理主義者」だとの指摘がユニークだ。
その原理主義とは:
新興宗教の出自をもつが故の強烈な宗教心に裏打ちされた「皇室中心」、「国民主権の否定」、「祭政一致(政教分離の否定)」、
そして最大の目標は現行憲法の無効と明治憲法復活である。
日本会議を支えるもう一つのパワーが神社本庁と全国の神社ネットワーク、
かって左翼勢力が採った地方を掌握して中央に持ち込む方式の担い手だ。
全国キャラバン隊が地方を草の根方式で刈り取り、「国民大会」と称する晴れ舞台でその成果をもって政治に圧力をかける、面倒だが賢い方法である。

日本会議の前身団体から実践してきたこのような草の根運動の成果は、「元号法制化」、「新編日本史編纂」、「新憲法研究会」、「天皇訪中反対」、「戦後50年国会決議反対」、「選択的夫婦別姓制度反対」、「国旗国歌法制定運動」、「外国人の地方参政権反対運動」、「国立追悼施設計画反対」、「教育基本法の改正運動」、「女系天皇容認の皇室典範改正反対」など
日本会議の宗教心と神社本庁の動員力の成果だった。

今、日本のマスコミが口を閉ざし続けるのなら、海外メディアの日本会議評を参考にすることも致し方ない。
【極端な右翼、反動的グループ 安倍内閣を牛耳り 歴史観を共有している (米CNN)】、
【極右ロビー団体 国策を練り上げている(豪ABCテレビ)】、
【強力な超国家主義団体(仏ルモンド)】との分析があるが、的を得ている。

あらためて日本会議の正体を列挙すると;
エスノセントイズム(自民族優越主義)
天皇中心主義
国民主権の否定
過剰なまでの国家重視と人権の軽視
政教分離の否定
これらをすべて象徴し包括する《憲法改正》への執念

「老婆心」
日本会議国会議員懇談会メンバーには安倍総理、麻生副総理はじめ多数閣僚の名前がある。
大事な時に「森友学園スキャンダル」、日本会議大阪支部運営委員である籠池理事長を日本会議はどう処分するか?
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