ルポ 外国人マフィア (2021/6/15)

文字数 789文字

2021年6月22日 第1刷
著者:間樹哲也
彩図社



ルポ(ルポルタージュ)は社会の出来事を報告者の作為を加えずにありのままに叙述するもの、
報告文学という名前で文学の一ジャンルとされている。ノン・フィクションやドキュメンタリとは一線を画す肩書ではあるが近年「ルポ」なる本に接したことはなかった、だから懐かしさもあってついつい手に取ってしまった。

本の帯に記載されているコピー「本物のマフィアに命懸けの取材」は過剰広告の疑いがある。
ルポ(と自称している)の取材結果によれば、外国人マフィアは結局存在しないということだから。
ただし本書の目次にも扇情的な言葉が並んでいるのもおかしなものだ。
第1章 ベトナムマフィア 外国人技能実習制度の闇
第2章 ネパールマフィア 暴力事件を繰り返す新興勢力
第3章 ナイジェリアマフィア ぼったくりバーと六本木パケ
第4章 フィリピンマフィア 犯罪を仕事にした若者たち
第5章 ブラジルマフィア 暴力団が混在する街で蠢くもの
第6章 現役ヤクザ幹部に聞く外国人マフィアの見解

章立ての日本語もおかしな具合になっている、無理やりに「マフィア」の言葉を使っていると裏腹に文章の構成・意味が不明解だ。
読んでみると、各国マフィアと称する若者たちと何とか話をした経緯と会話の抜粋が各章で歯切れ悪く続く、登場するマフィアは全員仮名になっているのは理解できるが、その裏にある実態がかすかにも感じられない。
各国マフィアの実態はといえば、経済大国だと思って日本に出稼ぎにきた、または公認のシステムで日本で働きに来た若者たちのドロップアウト物語が綿々と綴られている。
その程度の事実は、僕もほかの媒体を通じて知っているか知っている気持になっていた。
著者は身の危険を考慮して実名は隠してのルポだと述べているが、それほど危険な事実は本書では何も暴かれてはいない。

羊頭狗肉、またやられてしまった。
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