流人道中記 (2020/6/14)

文字数 668文字

2020 年3月20日 初版発行
著者 浅田次郎
中央公論新社



今までに感動させられ「嘘八百に嵌まった」時代劇の数々が蘇る、
時代物オールスターエピソード満載の珍道中物語りであり、いつもの様に涙と笑いに包まれる至福の読書だった、浅田次郎様にはかないませぬ!

物語りの大筋はというと:
町奉行与力見習い(19歳)が科人を松前藩まで護送せよとの命を受ける。
どうやら誰もが嫌がるお役目を押し付けられたようで、その科人とは大名待遇の三河譜代の旗本らしい、とにかく偉いお人なのだが、道中この旗本には良い人と悪い人の二面があるようで若い与力は旗本に振り回される…というコミカルではあるがミステリアスであり、はたまた浅田哲学であるリベラリズム爆発の痛快時代劇になっている。

いわゆる旅物語だが江戸から奥州街道終点の三厩までという新鮮な背景のもと、多種多彩な事件が二人に襲い掛かる。
温泉宿の未亡人の嘆き、座頭得悦の人生、懸賞首 稲妻小僧と飯盛女、敵討ち騒動と少年の磔刑、宿村送りの御法、飢渇村の代官・・・ひとつひとつの事件の裏にあるご政道の矛盾、御法の限界に悩む若い与力、そんな護送人をからかいながらも諄々と説得する旗本。
道中で与力の出世噺とそれに伴う苦悩が解き明かされていく一方で、旗本の罪状とそのいきさつは最後まで不明のまま旅が進んでいく。
そして、最後に明かされる旗本の科の全貌。
過去の時代劇感動作品、「壬生義士伝」、「憑神」、「一刀斎夢録」、「赤猫異聞」、「一路」、「黒書院の六兵衛」の思い出がよみがえる。
泣いて笑って、最後に感動させてもらった、いつもの様に。
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