晩秋行 (2022/7/21)

文字数 532文字

2022年月25日 第1刷発行
著者:大沢在昌
双葉社



フェラーリ250GTカリフォルニア・スパイダーを探す元地上げ屋の甘い甘いハードボイルド物語り、60~70歳代の男たちは懐かしさのあまり涙するかも。
主人公は62歳、愛だの暴力には最早縁遠いが未だにダンディで肝も座っている、著者大沢さんの分身のようにも思えて仕方がない、彼も今62歳だ。
本作には警察捜査も闇の犯罪組織も出てこない、バブル景気とそこに咲いた仇花が主人公だった。

バブルの時、犯罪スレスレの地上げで築いた虚構を一瞬にして失った男・女たち。
あれから30年を経て蘇る栄光の証、消えた名車と恋人が主人公の前に立ちふさがる。
忘れ去ったと思い込んでいた男の情念が再びメラメラと燃え上がってくる。

テーマは、消えた財宝探し。
本書の狙いは、あの狂乱のバブルへの鎮魂歌だろう
居酒屋の親父(主人公)、時代劇作家(元地上げ仲間)、スナックママ(元クラブナンバー1ホステス)、調査会社(暴力団フロント)、そして行方のしれない消えた恋人がおりなす30年まえの悪夢。
大沢ワールドにつきものであるヒーローも非合法組織も登場しない、軟弱ともいえる老いた男女に僕は親近感を覚え、
ちょっとだけ我バブル物語を記憶の隅からから引き出してみたりした。
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