そしてミランダを殺す (2019/4/23)

文字数 624文字

2018年2月23日 初版 12月7日7刷
著者:ピーター・スワンソン 訳:務台夏子
創元推理文庫



今まで出会ったことのない展開のクライムミステリーだった。
ミステリーのプロット、語り口が本小説の持ち味なので、ミステリーのネタバレについてのコメントはしない。
無難なところで、文庫裏表紙の作品紹介を以下にご紹介する:
『 実業家のテッドは空港のバーで見知らぬ美女リリーに出会う。彼は酔った勢いで、妻ミランダの浮気を知ったことを話し、「妻を殺したい」と言ってしまう。リリーはミランダは殺されて当然だと断言し協力を申し出る。だが、殺人計画が具体化され決行日が近づいたとき、予想外の事件が‥‥。男女4人のモノローグで、殺すものと殺される者、追う者と追われる者の攻防を描く傑作ミステリー 』

残念ながら、上記の宣伝コピーでは本作のエッセンスを全く想像すらできないだろう。
本作の主人公は、生まれながらの殺戮者、おまけに登場人物も彼らの暗い想いをそれぞれの言葉で語る章立てになっている。
すなわち、5人全員の悪意と強欲と恐怖で綴られている、よくよく思えばとんでもないノワール小説である。
普通の人たちの殺意を増幅し実行させ、または強要させる天性のシリアルキラーに恐怖を感じる、本人にはその意識も罪悪感もないことがより一層の絶望を見てしまう。
もしかしてこの世はそんな人たちにあふれてはいないだろうか?
そうでないことを、祈りたくなった。
強烈なノワールミステリー、小説はこうあるべき。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み