早とちりではあったようだけれど

文字数 892文字

 胃が痛し。
 なんか久々に風呂場で泣いた。
 泣けたの方が近いのかな。

 宝物は人によって違う。
 何を宝物に感じるのか違う。
 それがもし、自分だけのものなら壊れることもなく大切にしておけると思う。
 しかし誰か他の人が関わっていたら、それは自分ではどうすることもできないだろう。
 
 でも大人だからそれに対して何か言うこともできないし、相手の決定を尊重し我慢するしかない。
 そうやっていつも自分の思っていることを抑え込んでいるからズレていくということも分かっている。分かっているんだけれど、自分が我慢すればいいのだろうと思ってしまう。

 相手にとってはなんでもないことを自分は宝物のように感じている。
 そしてある日突然それを失って酷く動揺する。
 変わらない毎日が好き。安定した中に幸せを感じる。
 例えばそれが毎日きつく当たられていたとしても、急に態度を変えられたら不安になる。
 それが優しさであったとしても。

『7さんは言われたことを覚えているから、迂闊なことは言えない』
 そう言われたことを再び思い出す。
 言われたことを覚えているからこそ、書き換えができないし変化についていけない。

 あの時の自分は『寂しくない』と言われたことを覚えていて、そうなのだと思った。
 勝手に気持ちを決めると言われても『寂しくない』って言ってたじゃないと思ったのだ。
 人の心は変わる。それは理解しているつもり。

 仕事なら方針が変わればそれなりの理由が存在し、その背景を理解できるからアップデートすることができる。けれども対人関係では言われたことが全て。
 その人の発信することが全てとなる。
 その中で自分はどうすべきか考えるだろう。

 理由も分からずに変わるのは怖い。
 世界が終わるのではないかと思うくらいに怖い。
 何を信じたらいいのかわからなくて、どうしたらいいのか分からなくなる。
 きっと何か理由があってそうなったのだろうとは思える。でも、いなくなってしまいそうで怖い。
 嫌われたなら好きでなくなる努力をすればいい。そう、思う。
 できるかどうかは別だけれど。

 俺はね。
 そこに名前があるだけで、とても幸せだったんだよ。
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