さよならは言いたくない

文字数 1,050文字

 凄くすごく好きな人がいたんですよ。
 でも初めからすれ違っていて。それでも仲良くなりたかった。

 彼女は俺を責めない人でした。
 通常、言葉が足りなくて理解できなかったら、
「それじゃわからないよ」
と言われる。
 もちろん自分も説明不足だということは承知していた。だから説明して理解してもらいたいと思っていた。
 でも彼女は自分が悪いと自分自身を責め、自己完結した。

 どうしたらいいかわからない。
 どうしたら仲良くなれるのかわからない。
 終わりだと告げられても、話しかければよかった? 
 そんなことできないよ。
 俺には出来ない。

 毎日、うだうだしてた。
 彼女の周りは彼女に普通にいたわりの言葉をかける。
 それを俺にも望んでいた?
 自分を嫌っているかも知れない相手にそんなことできない。
 だって自分は好きだから。

 彼女は自分が受け入れている周りと、話しかけることも躊躇っている俺を同列で比べる。
 できない俺は不要ですか?
 ダメな人間なの?
 
 ダメ出しばかりしてくる元カノのことを思い出したよ。
 遠慮、配慮、我慢。
 俺を作る三大要素。彼女は理解していたうえで、それをやめろと言った。
 それで精神のバランスを保っているというのに。
 
 毒舌だから強いとでも思っていた?
 俺は強くない。
 周りに興味がないから、立っていられるだけ。
 
 俺の辞書には自惚れなんて言葉は存在しない。
 期待、両想いなんて言葉も存在しないんだよ。
 相手が自分を好きだなんて思ったこともない。

 だから、自分に好意を持ってくれる人を大切にする。
 他には何もいらない。

 恋人にすらダメ出しばかりされて人格否定されるのに。
 どうやって好かれていると思えばいいの?
 せいぜい嫌われないように距離を取るしかないでしょ。
 
 ここやめたと言っていたから、もう伝わることもないとは思う。
 俺はとても君の事が好きでした。
 ホントは気持ちを伝えるはずじゃなかった。あの時、もう来ないんだと誤解しなければ違う未来があったのかもしれないね。勇気をだせていたなら違う今があったのかもしれない。
 正直、気持ちを伝えたことを後悔しかしていない。
 伝えなかったなら、適切な距離感できっというべき言葉を言うことが出来ただろう。
 でも、それも運命だと思っている。

 はっきりとフラれたの、実は人生で初めてなので。
 なんかもう、涙止まらないんだけれど。
 この気持ちは持っていてはいけないものなんだなと思った。

 なんか辛いな。
 いつか、こんな自分でも好きだと言ってくれる人を好きになりたい。
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