本当はどうだったんだろう……?

文字数 1,372文字

 自分にとって”進撃の巨人”は戦争と平和について深く考えさせられる物語である。物語を追っていると、そちらにばかり目がいくのだけれど。

 『悔いなき選択』を観て少し怖い想像をしてしまった。
 この物語は、リヴァイが主人公の物語で、ゴロツキだった時にある人物から仕事の依頼を受け、結果的に調査兵団に残るという話である。
 リヴァイとエルヴィンは本編を観ると、信頼関係のある上官と部下にみえるのだが……。
 まずここで、自分はエルヴィンに関しては切れ者であり、信念も持った人物に映っていた。なので、こういう上司がいたならば、確かに信頼できるしついていこうと思えるのではないか? と思っていたのだ。
 だが、彼を”暴君”と称するある人の言葉を見て、本編のエルヴィンの最期を見た時に妙に納得してしまったのである。

 暴君とは……暴虐な、人民を苦しめる君主。比喩的に、気ままにふるまう横暴な人。
(web調べ)
 このままの意味だと、うん? と思うかもしれないが、彼は自分の信念のために突き進んだ人。彼の団長としての人生は、部下の屍の山の上に築かれている。人類の為という名目の元に。
 確かにそういう意味では、暴君なのかもしれないと思ったのである。

 カリスマとは時として恐ろしいものだ。

 悔いなき選択では、リヴァイたちには選択の余地はなかった。仕事を断ることが出来ない状態だったのである。人質を取られたリヴァイは信頼する仲間の二人と調査兵団に入隊することになる。この時のエルヴィンのやり方は、リヴァイにとっては屈辱的だったに違いない。
 仕事内容もエルヴィンを殺すことが含まれているのだが、それとは別に殺意を感じるのだ。リヴァイは尊大でプライドが高く潔癖症。しかし仲間想いで優しい人でもある。

 エルヴィンはリヴァイたちの仕事の内容を知りながら、彼らを調査兵団に入隊させ、壁外調査へ連れ出した。思うに、リヴァイたちは逆にエルヴィンの策略にハマったのではないだろうか?

 怖い想像と言うのはここからなのだが。
 雨で視界が悪くなり、リヴァイが一人で行動したのはたまたまである。一人で行動した為、大切な仲間を失ってしまう。これはどう考えても偶然の結果ではあるが、エルヴィンはリヴァイを調査兵団にどうしても欲しかった。その為に大切なモノを失わせるという一つの手があったのではないかと思ったのである。

 仲間を失い自分の選択を悔いるリヴァイにエルヴィンがかけた言葉は、
「無様だな」
なのだ。

 なんと無慈悲な! と思った。
 しかし、その後
”後悔するな。後悔は次の選択を鈍らせ、選択を他人に委ねようとする”。
 つまり結果待っているの死だけということ。

 その先の人生を変えたのはエルヴィンである。このエピソードでは、最終的にリヴァイはエルヴィンについていくことを決める。この結末が、エルヴィンの望んだ通りだったなら? とても怖い。

 つまり、エルヴィンとは、 
 欲しいものは必ず手に入れる。どんな手段を使っても。
 そういう人物なのかなと思ったのである。

 リヴァイは恐らく、そんな彼を理解していたと思う。
 エルヴィンの死の場面にて、”許してやってくれ”と言うので。

 仲間や部下を喪うのは辛いが、信頼していた上司を喪うのも、とてもつらい選択だったと思う。

 まあ、あくまでもエルヴィン像は俺の想像だけれどね。
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