モノを書く力を底上げする方法を考えてみる2

文字数 1,477文字

 昨日の続きだね。

 まずはおさらい。
 ・ラノベは会話を重視する
「」しか読まれないのであれば、必要なことは会話に盛り込んで表現するということ。

 ・一般小説では地の文に変換できる
会話に盛り込んでいたものを行動描写や心理描写などに置き換えることができるということ。

 これの実践系がこちら(向きはあくまでも仮の例として)
 1:会話のみで伝える→ラノベ層向き
 2:地の文のみで伝える→文学小説向き
 3:会話文と地の文で伝える→一般小説向き
 4:モノローグで伝える→なろう系向き?

 このように同じことを伝えるのにいろんな表現スタイルがある。
 伝えたいのはそこであり、どんなタイプの作品を書いているかによってスタイルを変更すると、より【らしさ】を出すことができるということ。

 そしてここに加えるべき変更というのが【ジャンルらしさ】と【世界観適合】だね。
 ジャンルらしさとはファンタジーだったり現代だったり。
 世界観適合と言うのは時代物ならその時代にあった表現を選ぶなど。
 
 つまりこれを利用すれば、一つの物語でいろんな作風のモノを展開できる。
 理論上だけれどね。
 
 じゃあ次の段階に進んでみようと思う。
 ここまでで恐らく伝えたいことをいろんなスタイルで表現し、それを自由自在に変換することが出来るようになったはず。

課題1:雨が降ってきたことを読者に伝える。【世界観は現代で作ってみる】
 例はこんな風にしてみよう。

 1:会話のみで伝える
「やっぱり降ってきた。朝の天気予報では降水確率60%だったしなあ」
「傘あったわよね? ○○」
「もちろん」

 2:地の文のみで伝える
 ○○が昇降口を出ようとした時、頬に何かがあたり濡れた感触があった。
 昇降口近くの池では小さな波紋が広がっている。

 3:会話文と地の文で伝える
「入れたはずなんだけどなあ」
 ○○は書店から出ようとして雨が降っていることに気づく。まだ降り始めではあるが、これから向かおうとしている駅までは十数分。傘を差さなければ、多少は濡れてしまうだろう。

 4:モノローグで伝える
 冗談じゃないわ。雨が降るなんて聞いてないし。さっきまではあんなに天気よかったわよね? 腹が立つけどこうしていても始まらないし、とにかく帰りましょう。

 『雨が降っている』と言うことをどういう風に伝えるかという手段の話なので、エピソードが同じである必要はない。
 これは世界観が現代なのでこんな感じで傘が出てくるが、時代らしさを出すとするならば言葉遣いを変えたり、その時代らしいモノを活用したりすればバリエーションを増やすことが出来る。

 次に変換するのは『場面』である。
 それはモノローグなのが、エピローグなのか、山場なのか。それともなんでもない場面なのか、事件前なのかなど。どの場面に盛り込むか?
 その場面に適合した内容に変換することによって、さらにバリエーションを増やすことが出来る。
 これも一つのらしさであり、そこを意識すれば抑揚のある物語を自由自在に作り出せるはずである。
 もちろん理論上の話だけれどね。

 平坦な話になってしまうのは『場面』を意識して書いていないからだと思うのよ。
 これから殺人事件が起きるから緊迫した雰囲気を出したい。そう思った時に初めて『言葉選び』や『雰囲気作り』をすると思うの。

 らしさを意識することは、積極的にバリエーションを増やすことに繋がると思うのね。
 上手いだけの物語は人の印象に残り辛い。けれどもハラハラドキドキする物語は人の心に残りやすい。急展開のある物語が記憶に残りやすいのは心を動かしているからだと思う。
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