自分を取り繕っていても仕方ないので

文字数 1,621文字

 恋愛ものに関して、後悔と苦悩する話ばかり書いているのは自分がそうだから。
 人を好きになっても『俺は君のことが好きだけど、俺のことはどうぞお構いなく』こんなスタンスでいる。
 よくよく考えたらこれは仕事でも変わらなくて『俺はあなたの仕事を手伝うけど、お気になさらず』という感じなんだよね。
 
 放っておかれたいから放っておいてというよりは、相手に時間を使わせるのは申し訳ないという気持ちのほうが大きい。
 けれどもそれで放っておく人は自分に対してなんら好意的ではないと判断しやすいので、それはそれで良いと思う。

 ここは本音を述べても、弱音を吐くところではないと思っていたんだけど。このエッセイはという意味ね。

 まあでも、人の心情とは意思表示しない限りわからないものなので書き記しておくのも悪くないなとか思う。こういうこと考える人もいるんだ、は何かの役に立つかもしれないしね。
 とはいえ、そんなに心理ばかり書いている作品を見たことはないけれど。ひたすら心理とか、ミステリーでも稀なんかな。
 映像ならあるけど。

 それはそれとして。
 最近自分はある恋に終止符を打った。
 別に諦めるべきだからそうしたわけじゃない。ちょっとショックなことがあったから。

 結論からすると価値観が違うというのが理由になるのだと思う。負担になりたくないから両想いになることは望まなかったし、俺のことは好きにならなくてもいいよとは言っていた。
 だからこの恋が不毛だなとは感じても、希望を抱くことなんてなくて。
 ほんの少し、楽しい時間を共有できたらそれで幸せだと思っていた。

 彼女は意外とガツガツいくタイプの人の方が好きなのかなと感じることはある。でもね、人というのは『ガツガツしてる人』に恐怖しか抱かない。
 そうではなく、自分の好んだ相手に積極的になってほしいものなんだよ。だが、元々消極的な人が積極的になるのは難しい。

 最近彼女に対して感じるのは『承認欲求の強い人』だなということ。それは別に悪いことではない。それが不特定多数に向けてなら、またトラブルに巻き込まれるのではないかと心配にはなるけど。

 ショックを受けたのはそれとは関係ないんだけどね。
 俺はあるものを見て共感の意を示した。
 含みを持たせたつもりはなかったが、結果的には含んだ形になったのだと思う。
 その返信を見て、俺は凄くショックを受けたんだよね。

 それは『好きと言いたい(伝えたい)気持ち』について。
 彼女はそれを理解できないというような返答をした。ショックだったのは、あれだけ好きと伝えたのにこの人は俺の気持ちを理解していなかったんだと思ったから。
 それに対して一度も好きと返されたことはないので、彼女からの好意を感じたことはなかったんだよね。実のところ。
 
 それでもさ、思わせぶりなことを言われたら期待しちゃうでしょ? 
 とはいえ、自惚れなんて言葉は俺の辞書にはない。好意があると誤解しそうになっても、気のせいと自分に言い聞かせて耐えた。
 好きは押しつけるものではないから。

 正直、ショックが大きすぎてどうしていいのかわからなかった。
 好きと言いたくなるほど人を好きになったことがないのか、言わずに後悔したことがないのかわからないけど。
 
 元々、俺が大切に想っているものは彼女にとっては簡単に捨てられるものなんだねとも思ってはいた。
 その原因を作ったのがあのクソ男だというのも忌々しいけど。
 
 きっと彼女にはわからないだろう。
 それでもいいんだ。
 俺は取り留めもない話をして言葉を交わせるあの時間、あの場所を宝物のように思っていた。
 どうしようもなく君が好きだった。
 君にとって、安らぎだけを与えられる存在になりたかったんだ。
 なにも残せなくても。

 だから、君を好きな自分にサヨナラ。
 恋を失うことは終わりでないから。
 いつかどれほど君のことが好きだったのか理解してくれたらいいなとか思うけど。
 無理そうだな。
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