目的意識をしっかり持つことで、生まれるもの

文字数 2,488文字

 五月も半ば、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 日々、世界では色んな事が起きて、Twitterではそれに関する情報が流れてくる。長期化すれば、暴露話も増えてきて、問題は何処にあったのかも考えさせられる。
 それは、戦争に限らず、有名人のスキャンダルにも限らず、作品などでもあるわけだ。

 必ずしも暴露が悪いこととは限らない。暴露という言葉自体には、秘密が明るみにでるという意味合いもあるしね。作品で言えば、謎の部分が読者によって解明されることもあるだろう。

 いきなり話の趣旨がズレたわけだが。
 今回は、【目的意識をしっかり持つことで生まれる道、可能性】についての話し。

 俺は連日語っているように、進撃の巨人がとても好きなわけだ。
 物語の中で、自由の翼を背中にしょって壁外調査を行っている兵団がいる。
 それが調査兵団。

 この物語というのは、初めは凄く狭い世界の中で展開されており、のちに”壁外人類”が存在することが判明する。しかしながら壁外人類がどのように生活しているのかは、判明した時点ではわからない。
(ライナーやベルトルトがエレンを連れ出したあたりの時点)

 主人公たちの暮らす場所は三つの壁に囲まれており、それは物語の当初、巨人から身を守るために存在すると思われていた。俺ももちろんそう思っていたのだが、この考えが覆る時が来る。

 しかしながら、少なくとも主人公やその頃の調査兵団がいるときにはすでに、壁の外には巨人が存在し、”人間のみを捕食する”為、壁の外は危険。
 彼ら調査兵団はたくさんの犠牲を払い、壁の外を調査していた。
 だが、これと言った成果はあげられないまま。

 ここで地図というものが、どれだけ人類にとって進歩なのかということに気づかされる。
 人は地図があるからこそ、目的地を定めることが出来る。調べつくされた現代であれば、目的地に何があるかネット検索で知ることはできるだろう。
 しかし彼らは地図がないために、地道に危険の中を調べていく他ない。

 さて、この作品の中で”エルヴィン・スミス”という人物がいるのだが、彼の発案したことや彼が団長に就任したのちに”調査兵団の被害が格段に減った”とされる。

 物語というのは二種に分かれるが、事実をもとにしたノンフィクション。そして空想を形にしたフィクションが存在する。
 進撃の巨人は後者である。少なくとも俺は、巨人が人間を襲ってくるところを見たことがないので、フィクションだと思っている。

 フィクションとはリアリティがないからこそ、リアリティを持たせる必要がある。それは現実味を帯びるということであり、あたかも実際に起きたこと、存在するかのように感じさせることを言う。
 何故そうしなくてはならないのか? それは恐らく、共感性を持たせたり感情移入をさせ、より物語に入りこませるためだと思われる。あくまでも理由は、俺の推定。
 そして、リアリティを持たせる方向性というのは”物語に対して”あればいいのだ。

 ”エルヴィンの策は調査兵団への被害を格段に減らすことが出来た”
 これは物語に置いて事実である。しかしこれが事実であることを納得させる、それがリアリティを持たせるということ。
 リアリティを持たせるために”実際に彼がどんな策を立てたか?”を提示し、そして”その実例”を読者に見せる必要がある。読者がそれを見て納得したら、”彼のお陰で被害が減った”というリアリティが生まれるのだ。

 彼が実際に行ったのは、索敵陣形と煙弾によって巨人となるべく戦わないようにするという手段。
 これについて検索すると、被害を最小限に抑えるどころか死者を増やすとあったが、俺は違う見方をしている。

 巨人は人間の、より多いところに向かう習性がある。つまり、全体で集まっていると被害は集中する。一発で全滅する恐れがあるのだ。そのため、小隊とし分散した方が、生き残る隊は増える。
 これは目視で巨人に見つかるのではなく、別の何かによって巨人が集まるのではないかと考えられる。
 もし、目視で巨人が集まるのであれば、壁に巨人が群がるのはオカシイと考えるからである。

 ここで重要なのは、煙弾で危険を知らせるのは、そこに巨が人いて”助けを呼ぶためではない”ということ。アニメ版しか見ていないが、助けに行く場面はない。むしろ見捨てて先に進む。
 巨人のいるところを確認し、避けて他の隊が進むということ。そして馬に乗っている限り、巨人の足では追いつかれることは、稀である。

 長距離索敵陣形とは、生き残りの隊を増やし、なるべく遠くまで調査することを目的としているのであって、巨人に見つからないことを目的としているのではない。それは、巨人に見つかった隊を見捨てるということが含まれる。
 この陣形がオカシイという人というのは”被害を減らす”観点でしかものを見ていない上に、巨人の習性を考慮していないと考えられる。
 実際の戦争と混同していては、なにも見えてこない。

 彼らは”人類の存続のために心臓を捧げて”いる。つまり、死を覚悟しているし、そこに後悔はないということである。

 この物語で”目的意識を持つ”とはどんなことなのか?
 彼らは”壁外を調査”することが目的であり、”後世に命を繋ぐ、またはその情報を受け渡す”ことが目的。
 全員が生き残ることが目的ではない。その目的を達成するためにどうしたらいいのか?
 そしてそれを達成するために生まれたのがこの策なのだろう。

 熟考(じゅっこう)しない人間は、目の前や自分の考えうる範囲でしか考えることが出来ない。なのでとても視野が狭く、どうしてそうなのか理解することができない。
 こういうことからも、どんな作品にも賛否両論あるのは、良く考えずに知りうる範囲でしかものを考えられない人間が多いためである。

 目的はどこにあるか?
 それはとても重要だと思われる。 

 目的意識をしっかり持つことは、今までとは違う観点からものを考えることが出来ること。
 そして人の考えなかった答えに辿り着くことも可能だし、道を切り開くことにも繋がると思う。

 あくまでも俺はそう思っている。
 
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