自分を恥じているのは、紛れもなく自分であり

文字数 2,854文字

 通常、人は陰で悪口を言われていたら気になるし、嫌だなと感じるんだと思う。
 確かにそれをあえて見るのは嫌だけれど、関心はない。
 どうでもいいなと思う。

 それは単に他人に興味が無いからという理由ではないし、別に強いからというものでもなく、自分が一番自分を恥じているからなんだよなと思う。

 そもそもエブリでレビューを書き始めた頃。
 「こんな小説を書いている奴にレビューを書かれて何がそんなに嬉しいんだろうか?」
と感じていた。

 当時は同性恋愛ものしか書いていなかったし、もちろん他人の作品には無興味。
 色んなジャンルのものを書いて、たくさんの作品を読み、たくさんの作品を読んでいる人にレビューを書かれた方がいいのではないか? と思っていた。

 そして俺が見ていた狭い世界では、”批判”、”誹謗中傷に値するもの”、もしくは”自分ならこう書く”など、一般的に見てレビューとは言い難い内容が多かった。
 批判的なモノを悪いとは言わないが、こういった小説投稿サイトでの規約上も含め作品に書かれるレビューというのは【まだ読んだことのない読者へネタバレなしで良いところやお勧めしたいところを書く】のがレビューである。

 まあ、DAYSではファンレターという名称になっているので基本、他の読者に宛てたレビューではなく、作者宛てとなる感想を書くのが基本ではあると思う。
 俺はそれを無視して、レビューを掲載してしまうが。

 本題に戻る。
 もう二年くらい前の話しなので今はどうなのかはわからないが、レビューとは名称しがたいものが多かった。指摘というのは作家にとって役には立つだろうが、その作品を拝読する他の読者には関係ない。

 当時の自分はレビューを書くこと自体が初めてでありもちろん模索中でもあった。
 その為、かなり未熟。指摘の向けがどこにあるか深く考えなかったし、読者の知りたいことを書くこともできなかった。それでも批判的なことを書くことはなかったが。
 ある意味あの場所では、自分の書いていたレビューの方向性は斬新だったのだろう。
 それでもやはり、俺なんかに書かれて何が嬉しいのだろうか?
 そう思っていた。

 ファンタジーにレビューを書くならその道で有名な人や尊敬する人に書いてもらった方がいいに決まっているし、そもそも俺はファンタジーが好きではない。
 例えば有名な映画で言えば、ハリーポッターは一作だけ見たが、その面白さを理解することが出来なかった。つまり、自分は魔法などに憧れを抱いてはいないためだ。
 逆にトランスフォーマー(アメリカの映画)などは何十回と観ていた。ロボットものが好きというわけでもない。どちらかというとSFの方が好き、夢があると考えていたためであろう。

 現実主義なので、チート過ぎるものが好きではなく、人間は何かしら欠点があった方が面白いと感じるのでスパダリの良さも正直なところよくわからない。
その上、汚い表現を好まないので”一般的に人が寄る性的なもの”にも関心はない。
 つまり海外映画のような美しいベッドシーンの方が魅力的であり、性的な表現に関してもなるべく美しくあるべきと考えているので、他人の書くR18が苦手だったりする。
(表現の問題だね)
 リアルに書けばエロいというのは勘違いで、想像させる、想像力を掻き立てるものが真のエロスだと思っている。なので特に匂いなどは気持ち悪いし、汚いと感じてしまう。
 同性愛者ものを書いていてもBLが嫌いなのには、そこに理由がある。
 生々しさは要らないと思うんだよね。エロ本じゃないから。
(あくまでも、俺が嫌だという話)

 そんなわけで、偏った好みを持ち、偏ったものしか書かない自分にレビューを書かれたところで……と思っていた。それが自分の中でレビューが勝ったのはいつだったろうか?
 恐らく意識が変わったのは、Twitterでレビュー活動を始めてからだったと思う。
 
 俺を変えたのは恐らく、Twitterの相互という存在であり誰かではない。
 そして”異世界転生、召喚、転移”というジャンルを知ってからでもある。
「なんだこれは!」
 俺が初めに感じたのはこれである。もちろんいい意味で。

 異世界転生ものをバカにする人は多い。
 でも考えてみて。
 内容ではなく、このジャンル自体について。
「これぞ、人が小説を書くに至る原点」
 俺はそう思った。

 もし自分が生まれ変わったら。
 ファンタジーの世界で魔法が使えたなら。
 もし自分がゲームの主人公だったなら。
 
 小説はIFの世界であり、想像の世界なのだ。
 
 異世界転生ものはその中でも、”何故この小説を書くのか?”というのが描かれているジャンルなのである。頭のいい人ならすぐにその意味を察することが出来るだろう。
 他のジャンルにはできないこと、もしくはしないことが含まれているのだ。
 だから俺はとても面白いジャンルだと感じた。
 これまでどんな人生であり、それをこの後の世界でどう生かせるか? そこがきちんと表現されている作品ほど納得ができ、面白い作品、アイデアにすぐれた作品といえるだろう。
 死ぬスタイルにセオリー的なものがあったとしても。
 
 このジャンルを下に見る人たちは、このジャンルの凄いところと小説の本質を理解していないと思う。
 好みはあるので、読めとは言わないが下に見るのは良くないと思う。
 かつてはファンタジーは夢見がち、お花畑のように思われていたジャンル。
 特にファンタジーを書く人が異世界ものをバカにしがちだが、異世界ものはファンタジーでありながら現実主義寄りの人間の方が向いているのである。
 相容れない関係なのは致し方なく、どちらも面白いと感じるのは中間に感覚を持てる人だと思う。

 男女で言えば、どちらかに寄っている人はどちらも好きになるのは難しいが中性的、もしくはどちらでもない人がどちらも好きになれる真逆のジャンルということ。
 この図で考えると、中間にあるのはローファンタジー(現代ファンタジー)となる。
 現代ファンタジーが広く受け入れやすいのは恐らく、どちらよりでもあり、どちらよりでもないからだと思われる。

 俺に創作作品が面白いなと思わせたのは、まぎれもなく”異世界もの”ということだ。
 たくさんあるからこそ、人は模索する。オリジナリティを求める。
 みんな試行錯誤しているから面白いと感じるのだ。
 もがき、足掻き、人と同じと言われないように、切磋琢磨する。

 そんな作品に触れているうちに自分の中で”レビュー”が上になっていた。
 自分を誇れる自分でありたい。
 それは、書いたレビューに恥じないため。
 書かれた人の恥にならないため。
 
 この世には自分の作品を読まれたい人であふれている。
 けれど、自分の恥を隠すために見せることをやめる人もいる。
 なので各サイトで小説を公開するのをやめた。
 アルファポリスは人が付き辛いのであえて選んだ場所である。
 わざわざ来る人もいないだろうし……。
 一応リンクはつけてはいるがw

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