あなたは何を思って言葉を紡ぐ?

文字数 1,077文字

 作品の話なんだけれどね。
 
 物語というのは『その人の体験』というのが大きく関わっている。
 とは言え、体験談を書き起こすのは『ノンフィクション』であって一般的に言われる小説『フィクション』とは異なるよね。

 物語には『なんらかの体験』というものが関わっているだけで、例えば恋愛をしなくても恋愛小説は書けるし、異世界に行ったことがなくても異世界を舞台にした小説を書くことはできる。
 けれどもそこには必ず『なんらかの体験』というのが関わっているはずなんだよね。
 それは何かを見て思った小さな影響かも知れないし、体験によって『もしこうだったなら』というIFの想像かも知れない。
 こう考えるとやはり『なんらかの体験』が物語に影響を与えていると言えるよね。

 その体験は例えばそうだな。
 川でおぼれた経験のある人が小説にそのことを活かそうと考えた時、川でおぼれるという場面を加えるのもそうかもしれないが、『恐怖』に関しての心理をどこかの場面で表現するのも『活かす』と言えるだろう。
 だから体験というのはそのまま書くわけではなく、そこから得られた情報だったり心理だったりするわけなんだよね。

 自分は恋愛ものばかり書いてはいるが、思想がメインであんまり恋愛小説という感じはしないかなと思うことがある。
 じゃあ思想となっている部分のベースは何かというと、普段身の回りで起きていることに関して考えたことだよね。それはニュースだったりするかもしれないし、実際の体験かもしれない。

 俺の小説の中でよく出てくるのは『変わる好きは好きとは言わない』というもの。
 これはまんま俺の思想。
 何かあって嫌いになることは確かにあるとは思うけれど、好きな食べ物があったとしてそれってそんなに変わらないよねって思うんだ。
 じゃあ、人間に対してなんで好悪が変わるのかと言えば『浅はか』な考えで好悪を述べるという要因もあるし、その好きが自己都合でしかないという側面もあるだろう。
 まあ、簡単に言えば人間は愚かだから。ただそれだけ。

 俺は好きになった相手を嫌いになることはない。
 別にまたつき合いとは思わないけれど、イコール嫌いとは違うと思うんだよね。
 そもそもどんな人間にも良いところ悪いところはある。
 一緒にいられるかどうかは好悪ではなく、それが許せるか否かだと思う。

 他人に全く興味のない自分でも好きだなと思う人はいる。
 そういう人と断絶したからと言って嫌いになることはない。
 これでよかったんだと思うまでに時間はかかったとしてもね。

 そういう思想も含めて小説には自分の体験が関わっていると思う。
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