3.十三番目の精霊
文字数 2,012文字
しかし『ユダの福音書』においてその印象は真逆となる。
ユダこそがイエスの真の理解者として描かれるんだ。
他の弟子たちはイエスを理解できないままで終わる。
前回、弟子たちは夢の中で恐ろしい場面を見た。
それとは別にユダも幻を見たのでイエスに聞いてほしいと言う。
イエスはユダを「十三番目の精霊」と呼び、「あなたの話を信じよう」と言った。
態度からして他の弟子に対するよりも温和な印象を受ける。
ユダはイエスに言った。
「私は幻のなかであの十二人の弟子が私に石を投げつけ、
[私を激しく]虐げているのをみたのです。
(『『ユダ福音書』の謎を解く』
エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング(著) 山形孝夫・新免貢(訳) 参照)
そして「後の民から呪われる」とまで言った。
しかし、その上で「あなたは彼らの上に君臨するでしょう」と言うんだ。
それからイエスは神の王国についてユダに話し始める。
その中には次のような、『創世記』的なものも含まれていた。
それから、サクラスは彼の天使たちに言いました。
『われわれの似姿[に]、われわれのイメージに従って人間を造ろう』。
そして、彼らは、アダムとその妻エヴァを造りました。
(『『ユダ福音書』の謎を解く』
エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング(著) 山形孝夫・新免貢(訳) 参照)
わたしが望むのは犠牲ではなく、愛である。
わたしが望むのは焼き尽くす献げ物よりも、人が神を知ることである。
「わたしはお前たちの祭りを憎み、退ける。
お前たちの盛大な集会の香りを喜ばない。
たとえお前たちが焼き尽くす献げ物、穀物の供え物をわたしに供えてもわたしは喜ばない。
肥えた和解の献げ物にも目を留めない。
人よ、何が善いことか、主が何を求めておられるかは、お前に告げられたはずだ。
正義を行い、慈しみを愛すること、へりくだって神とともに歩むこと、これである。
そして、彼らはユダに近づいた。
彼らはユダに言った。
「お前はこの場所でなにをしているのか。お前はイエスの弟子だ」。
しかし、ユダは、彼らの望むままに答えた。
そして、ユダはいくらかの銅貨を受け取り、イエスを彼らに引き渡した。
ユダの福音書
(『『ユダ福音書』の謎を解く』
エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング(著) 山形孝夫・新免貢(訳) 参照)