5.エクソシスト

エピソード文字数 1,002文字

1973年に公開されたアメリカのホラー映画で『エクソシスト』がある。

「エクソシスト」は悪魔払いの祈祷師のこと。

前に見たレギオンを払ったのと同じことだね。

映画『エクソシスト』で払われる悪魔はパズズ。

この悪魔は異教の神と言うよりは、異教においての邪神だ。

メソポタミア神話における風の魔王で、フンババの兄弟だとされている。

フンババと言えば、ギルガメシュ叙事詩において有名ですわね。

シダーフォレストにおける森の番人で、ギルガメシュに退治された巨人。

その兄弟となるとそうとうな実力者のはずですが。

草ごときがそれをどうこうできまして?

もちろん、パズズを人の力で追い払えるわけもない。

追い出すには神に祈るより他は無いのさ。

(悪霊に憑かれた子供を救った後)

イエスが家の中に入られたとき、弟子たちはひそかにイエスに尋ねた、

「どうしてわたしたちには霊を追い出せなかったのでしょうか」。

すると、イエスは、

「このたぐいのものは、祈りによらなければ、

どうしても追い出すことはできない」と仰せになった。

イエス様もすごいけど、なんやかんや言うてうちのボスが一番やからな。
はて。

イエスの弟子でさえ出来なかった悪魔払い。

それが何故、後世の者に出来るようになったのかしら。

イエス・キリストの名前を利用するのさ。

今でも偉い人の名前を使って物事を通す場合があるだろう?

それと一緒だね。

身もふたもない言い方やけど、「イエス様の御名」は効果抜群やろな。

パズズの一匹や二匹くらい追い払ってくれるで。

使徒ヨハネはイエスに言った、

「先生、お名前を使って悪霊を追い出している人を見ました。

その人はわたしたちの仲間ではないので、やめさせようとしました」。

イエスは仰せになった、

「やめさせてはならない」。

なるほど。

弟子やのうても、イエス様を信じてたら、その力が使える。

そういうことが聖書に書いてあるんやな。

便利ですこと。

今度、わたくしも使ってみようかしら。

良いジョークだ。
『カトリック教会のカテキズム』という書籍がある。

「カテキズム」はキリスト教の「要理教育」のことだ。

そこには、教会はイエスの力を借りて悪魔払いを行うと書かれている。

有名なエクソシストとして、2016年に亡くなったガブリエーレ・アモルトがいる。

彼は国際エクソシスト協会の設立者で、ローマ司教区の主任エクソシストだった。

今のような「科学」全盛の時代に、いったい何を払うつもりなのやら。
僕らかな。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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