9.バアルの預言者たち

エピソード文字数 1,064文字

何故、神は旱魃を起こしたのか。

それはバアルが雷神であることに起因する。

もしバアルが真に力のある神ならば雨を降らせるはずだ。

しかし旱魃はエリヤが再び現れるまで終わらなかった。

すなわち、主である神こそが唯一、天候を司る神であると示したんだ。
そんで、イスラエルがええ加減干上がったところに登場っちゅうわけやな。
アハブはエリヤに対し「イスラエルを悩ます者」と言った。

エリヤはアハブこそがイスラエルを悩ませているのだと反論した。

イゼベルに従うバアルの預言者たちは450人もいる。

また、アシェラの預言者たちは400人もいる。

エリヤは異教の預言者たちを集め、神の力を競わせることにした。

450人の預言者ですって?

そんなに祈られても、ひとつひとつ聞き分けられるわけないでしょう。

聖徳太子でもあるまいし。

いや、さすがにその数は厩戸皇子(うまやどのみこ)でも無理なんじゃないかな。
この画像は Free Bible images からの借り物だよ。
バアルの預言者たちは祭壇の周りを踊りまわった。

それで一所懸命に叫ぶけれど、バアルは全く応じない。

さらに彼らは剣で自らの身体を傷つける。

血を流して午前から夕方までわめき続けたけれど、何も起こらなかった。

応じるわけないでしょう。

こんな小汚い連中に呼ばれたって嬉しくないわ。

わたくしの声が聞きたければ、特大のケーキをご用意なさい。
ビヨンデッタの特大ケーキか……。
あれ?

うち……、泣いてる?

エリヤは「バアルは旅に出ているのか」とあざけった。

そしてイスラエルの民を集め、捧げ物の儀式を行った。

すると主の火が下り、捧げ物、薪、石、塵を焼いた。

民はひれ伏して主こそが神であると言った。

目の前で奇跡を起こされて、民はバアルではなく主こそが神だと理解した。

具体的な何かを見せられないと、なかなか人は信仰を抱けない。

逆に言えば、具体的な奇跡さえあれば人は簡単に信じるということ。

純粋無垢であることは僕に言わせれば罪だね。

エリヤはバアルの預言者たちを捕らえるよう民に命じた。

そして彼らをキション川に連れて行って殺した。

悪魔が罪を語るんか。

さすが不遜やな、サタニャエルくん。

褒めても何も出ないよ?
この顛末をアハブは見てたんやろか。
そうだね。

エリヤはアハブにカルメル山に登って食事をするように言った。

それから従者に山頂で海を見ることを7回繰り返させた。

7回か。

確か、ゲマトリアと呼ばれるユダヤの数秘術では「完成」を表すんやったな。

まさしく。

7回目に従者は小さな雲が海から上るのを見た。

そして大雨となり、飢饉は終わりを告げたんだ。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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