7.バアル神殿

エピソード文字数 963文字

北イスラエル王の系譜

・ヤロブアム:アシェラ像を造り、神様に怒られる

・ナダブ:ヤロブアムと同じ生き方をする

・バシャ:謀反を起こして王となるも、偶像崇拝は継続

・エラ:二年間王位にあったけれど、あっけなく謀反に散る

・ジムリ:謀反を起こしたけれど、七日間しか王になれなかった

・オムリ:ジムリを倒し、ティブニ派を倒して王となるも、偶像崇拝は継続


南ユダ王の系譜

・レハブアム:ソロモンの子、圧制を敷いて民に嫌われる

・アビヤム:レハブアムと同じ生き方をする

・アサ:母親がアシェラ像を造ったので太后(たいこう)の座から退けた


イスラエル王国、えらいことなっとるやん。

謀反に次ぐ謀反で王様、代わりばんこやで。

しかもジムリは七日間て。

こんなん王様に数えてもええんか?

戦国武将、明智光秀の「三日天下」よりはマシかしら?
「三日天下」は言うてるだけや。

ほんまは13日間くらい続いたんやで。

ではもっと短いジムリは、さしずめ「一夜天下」といったところですわね。
イスラエル王国は混乱が続いても偶像崇拝をやめることはなかった。

ウガリットの神々を祀り続けたわけだ。

はよやめたら良かったのに。

なんで偶像崇拝続けてもうたんやろなあ。

聖書ではもちろん唯一神を拝むことが絶対に正しい。

けれどそう思わない人は世界中にいるのさ。

彼らもまた、主が絶対とは思わなかった。

恵みをもたらす神々に必死の思いで願ったろうさ。

オムリの子アハブがイスラエルの王となった。

彼はシドン人の王エトバアルの娘イゼベルを娶り、進んでバアルに仕えた。

サマリアに建てたバアル神殿に祭壇を築いた。

また、アシェラ像も造った。

こうした行いは以前にも増して主の怒りに触れるものであった。

インド生まれのイギリス人画家、バイアン・ショーの絵だよ。

中央の女性はエトバアルの娘にしてアハブの妻、イゼベル。

いかにも悪い女という風に描かれていますわね。

これはきっと悲惨な結末が待っているに違いありません。

ビヨンデッタの期待には沿えるんじゃないかな。

でも彼女はバアル信仰の推進者だよ?

そんな人の不幸を願ってもいいのかい?

彼女の不幸がわたくしに何か関わりまして?

悪魔に何を求めるのかしら。

とは言え、わたくしは彼女をどうこういたしません。

それをなすのはあくまで草どもの意思。

混沌とした世の中をどう転がすか。

とく、眺めてさしあげますわ。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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