10.アラム王ベン・ハダド

エピソード文字数 975文字

旱魃が終わって、バアルの預言者を皆殺しにしたエリヤ。

彼はアハブの妻イゼベルの恨みを買って命を狙われる。

そらそうや。
エリヤは神の指示に従い、エリシャという新たな預言者を見つけた。

エリシャはエリヤの弟子となり、数々の奇跡を起こすのさ。

ハゲの話はさて置き、ベン・ハダドというのは何者ですの?
ハゲ?
ベン・ハダドはアラム・ダマスカス王国の王だよ。

地図の右上、緑色の地域だね。

イスラエル王国のすぐ隣に位置している。

ちなみに北に小さくティルス(Tyre)とあるけれど、そこの王がエトバアル。

つまり、アハブの姑(しゅうと)だね。

イスラエルは周囲を色んな国に囲まれとる。

少しでも味方を増やしたかったんやな。

そのためには、嫁さんもろて、宗教変えるんもしゃあなしか。
仮にエトバアルを敵に回せば、ベン・ハダドとの挟み撃ちになったかもしれない。

そのベン・ハダドは全軍を率いてイスラエルの都市サマリアを攻撃した。

預言者ミカヤがイスラエルの王アハブに近づき、勝利の預言を与えた。

アハブは彼の言葉に従い、ベン・ハダドに勝利した。

その預言者が言うには、ベン・ハダドはまた攻めてくる。

預言者の助言を聞き入れ、アハブは勝利した。

あらあら。

勝算も無く攻めてきたのかしら。

あっけなく打ち払われてしまって。

ベン・ハダドは命乞いをし、いくつかの町を手放すことで釈放された。
しかしそれが神の気に入らなかったらしい。
預言者ミカヤは王に言った。

主が滅ぼし尽くすと決めた者を逃したゆえ、代わりにアハブが死ぬ、と。

アハブは不機嫌になり、怒りながらサマリアに帰った。

怒るだけで済ますんやから、優しいもんやで。
そもそも隣国の王を殺したところで危機は去らない。

むしろアラム・ダマスカス王国の怒りを燃え上がらせるだけだろう。

それよりはいくらかの見返りを得て、協定を結ぶ方が効果的だ。

複雑に絡み合う各国の政治情勢の中、イスラエル王はよくやっている。

しかし、そんな常識は神に通用しないのさ。
これらの出来事ののち、アハブはナボトの所有するぶどう畑を欲した。

銀や代わりの土地を提示したふぁナボトは断った。

するとイゼベルが手を回し、ナボトを死なせてぶどう畑をアハブのものとした。

なんか、しれっとひどいことしとるな。
このことをもってエリヤはアハブへの罰を宣告する。

彼に属する男子を滅ぼし、妻イゼベルを犬のえさにすると言ってね。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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