6.ソロモンの第一の箴言②

エピソード文字数 1,052文字

豚の鼻につけた金の輪のようである、

美しくても、たしなみのない女は。

豚に金の輪。

豚に真珠と似たような感じやな。

『マタイの福音書』第7章6節

「聖なるものを犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。」とありますわね。

これがものの価値の分からぬという意図の「豚に真珠」の由来だとか。

豚もいい迷惑ですこと。

草どもの勝手な価値基準にさらされて侮辱を受けるなど。

『箴言』はもちろん『マタイの福音書』より前に書かれている。

ひょっとしたら、「真珠を豚に投げてやるな」と言った人も脳裏をかすめたかもね。

急に得た富は滅びるが、

稼いで蓄える者は、それを増す。

宝くじ大当たりで身を持ち崩す、みたいな話もあるしな。

こつこつ堅実にが一番やで。

近頃は「こつこつ」と称した「投資商品」もありますわね。

とある大企業が上場し、それに群がった男も言っていましたわよ。

「こつこつ」とね。

日本人が好きな言葉だからね。

そう言っておけば、なんとなく堅実な響きがある。

抽象的な言葉には注意してもらいたいもんだ。

怠け者の道は茨の垣根のよう、

勤勉な者の小道は平坦。

これはなんとなく実感あるなあ。

しっかり準備しといたら、色んなことが楽に進む気ぃするわ。

学問においても同様ですわね。

常日頃から学んでいれば、さほど苦しむことなく試験に臨めましてよ。

これは、いかにも教訓めいているね。

言われた方は「おっしゃる通り」としか言えないだろう。

ま、それですぐ勤勉になれるわけでもないけどさ。
怒りを遅くする者は勇者に勝り、

自分の心を治める者は町を征服する者に勝る。

怒りに任せた行為はいつだって御法度や。

宮本武蔵かて「空は善有りて悪無し」「心は空なり」言うとる。

「空」の意味はよう分からんけど、落ち着いて対処せなあかん。

「空」はサンスクリット語で「シューニャ」

インド数学では0(ゼロ)を表す言葉ですわね。

今も昔も、怒りっぽい人に悩まされてきたんだね。
愚か者は英知を喜ばない。

ただ自分の心にかなうことだけを表す。

選択バイアスという言葉がある。

何かしら統計的な情報を取る際に、抽出するサンプルに偏りが出来てしまうことだ。

そのバイアスには色んな種類があるけれど、観測者自身の心もその一つだ。

心とは当の本人ですら全てを解しえぬもの。

ユングの好きな深層心理ではありませんが、意図せぬ好悪が影響しましてよ。

それこそ、奇数よりも偶数が好き、なんて感情だったり。

そういうのんも指摘されて、ちゃんと受け入れられたらええんやろな。

自分が正しいって思ってるところに言われると、なんやねんってなりそうや。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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