14.十戒

エピソード文字数 934文字

イスラエルの子らがエジプトの地を離れて第3の新月の日。

彼らはシナイの荒れ野にたどり着いた。

そこで神様はモーセを通じてイスラエルの子らに語りかけた。

「お前たちはわたしにとって祭司の王国、聖なる国となる」

厳かな雰囲気やな。

何が始まるんやろ。

シナイ山はかつてモーセが神様と初めて言葉を交わした地だね。

そこでまた改めて神様とイスラエル人との契約を結ぶんだ。

聖書で「契約」という言葉はとても重要。

それだけで一つの学問が成立するくらいだから。

神様は次の言葉を告げられた。


1.私はお前の主である。

2.わたしのほかに何ものをも神としてはならない。

3.自分のために偶像をつくってはならない。

4.私の名をみだりに唱えてはならない。

5.七日目の安息日に仕事をしてはならない。

6.父と母を敬え。

7.殺してはならない。

8.姦淫してはならない。

9.盗んではならない。

10.隣人について偽証してはならない。

11.隣人の家を欲しがってはならない。

12.隣人の妻を欲しがってはならない。

13.隣人の奴隷、家畜など隣人のものを欲しがってはならない。

14.ヨルダンを通る時には律法を刻んだ石を立てなければならない。

これがいわゆる「十戒(じっかい)」だね。

細々とした決め事の上にある基本原則。

憲法みたいなもんかな。

ん? 十戒って……。

ひい、ふう、みい……。

14個もあるやないか。

十戒やったら10個ちゃうんか。

実は「十戒」と言っても、統一された見解は無いんだ。

聖書の文章から、どれを10個の戒律とするかは宗派によって分かれるんだよ。

最後の「石を立てる」話は、一般的な旧約聖書では『申命記』に載っている話。

サマリア五書と呼ばれる聖書にのみ十戒の一つとして書かれているんだ。

つまり、10個であることは確かやけど、何が10個かは神のみぞ知るてことか。

もうちょい分かりやすく並べといてくれたら良かったんに。

イスラエルの民は雷鳴、稲光(いなびかり)、角笛、山煙を見た。

神様を恐れて、モーセにとりなしを願った。

モーセは神様を恐れてはいけないと言った。

民を試し、罪を犯さないようにさせるために神様は来たのだと伝えた。

ここからしばらくは法典の話が続く。

物語の展開が遅くなるからちょっと退屈するかも。

退屈は好かん。

巻きで行くで。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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