2.使徒マティア

エピソード文字数 1,221文字

イエスは復活した後、また天に昇って行った。

後のキリスト教ではイエスの再臨を待ち望むことになる。

ところで12人の使徒はユダの裏切りと死により11人となっていた。

これを受けてペトロは12人目を新たに定めるべきだと主張する。

その理由は聖書にはこう書かれている。

詩編には、次のように書いてあります。

「彼の住まいは荒れはてよ、そこに住む者はいなくなれ」

また、

「その職はほかの者に受け取らせよ」。

『詩編』第69章26節

彼らの宿営が荒れ果て、幕屋に住む者が一人もありませんように。


『詩編』第109章8節

彼に残された日数は僅かとなり、ほかの人がその職を取り上げるように。

聖書を引用して身の振り方を示すなど。

ペトロったら、まるでイエスのよう。

ユダから職を取り上げて、別の誰かに与えなあかんねんな。
そして2人の候補者が現れた。

1人はユストという別名を持つ、ヨセフ・バルサバ。

そしてもう1人がマティアだった。

候補者が2人もおるんか。

そんならいっそ、2人とも使徒にしたらええやん。

人多い方が色々仕事も捗るやろ。

良い案だと思うけどね。

残念ながら使徒は12人でなければいけない、と言われている。

かつてイスラエル王国は12の部族によって作られた。

12人の使徒はそれを模したものになる。

12使徒は精神的な支えとしての枠組みになるのかもしれないね。

『ヨハネの黙示録』第21章12節

(新しいエルサレムについて)

この都には高い大きな城壁があり、十二の門があった。

それらの門の上には、十二人のみ使いがおり、名前が刻まれていたが、

それらはイスラエルの子らの十二部族の名前である。


『ヨハネの黙示録』第21章14節

都の城壁には十二の土台石があり、それには子羊の十二使徒の十二の名が刻まれていた。

すなわち、キリスト教が精神的な土台になる、と。

11人では足りず、13人では多すぎるということかしらね。

そういうわけで、候補者2人の中から1人を選ばなければならない。

それはくじ引きによってで、マティアが選ばれた。

その名は「神の賜物」を意味する。

使徒に選ばれはしたけれど、マティアについてはほとんど知られていない。

かつて『マティアの福音書』が存在したけれど異端扱いでほとんど残っていない。

当初はユダヤで宣教し、後にエチオピアに行ったと伝えられている。

これは14世紀頃の歴史家ニケフォロス・カリストス・カントポウロスによる。

当時の都市セバストポリスにある太陽神殿近くに葬られたとか。

そうではなく、エルサレムでユダヤ人たちに石打ち刑にされたとも言うらしい。

しかし、当時のユダヤ人たちは他人を勝手に死刑に出来ないのでは?

それゆえ、イエスはローマの手により十字架刑となったのでしょう。

ローマの法を破ってでも石打ち刑にしたかったんかな。
マティアが死んだのは西暦80年だと言われている。

その前、66年から73年にはいわゆるユダヤ戦争が起きている。

ローマ帝国に対する反感は強く、順法精神は低かったかもしれないね。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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