6.夢の中
文字数 1,351文字
わたしは眠っていましたが、心は目覚めていました。
戸をたたいているわたしのいとしい方の声。
「開けておくれ、わたしの妹、わたしの愛する人よ。
わたしの小鳩、わたしの汚れない人よ。」
わたしは着物を脱いでしまいました。
どうしてまた、それを着ることができましょう。
わたしは足を洗ってしまいました。
どうしてまた、汚せましょう。
わたしのいとしい方が、戸の穴に手を差し入れました。
あの方のためにわたしの心は高鳴りました。
わたしが、いとしい方のために戸を開けると、
わたしのいとしい方は踵を返して行ってしまわれました。
あの方が背を向けて去ったとき、わたしは気を失ってしまいました。
エルサレムのおとめたち、わたしに誓ってください。
あなた方が、わたしのいとしい方を見つけたら、
あなた方は、あの方に何と言ってくださるのでしょう。
「わたしは愛に病んでいる」と言ってください。