1.エゼキエルの墓

エピソード文字数 1,277文字

エゼキエルはバビロン捕囚時代の預言者。

その名は「神は強くする」を意味する。

エゼキエルって響きかっこええな。

神様に力を授かって活躍しそうやないか。

イスラエルの民が捕囚より解放されるのはまだ先のこと。

それも、アケメネス朝ペルシアという別の勢力による棚ぼた。

エゼキエルとやらが何かを為せるとも思えませんが。

信仰を繋ぎ、人々に希望を与え続ける。

それもまた大事な仕事なのさ。

彼らの努力が無ければ、ひょっとするとユダヤ教は生まれていないかもしれない。

そうすると、後に続くキリスト教、イスラム教も無かったことになる。

エゼキエルは捕囚初期からの人物だ。

残念ながら、解放の頃にはとっくに亡くなっている。

エゼキエルのお墓とされる建物は、現在イラクのアル・キフという町にある。

そこはユダヤ教徒とイスラム教徒の巡礼地でもある。

ユダヤ教徒とムスリム共通の巡礼地か。

中東のドンパチ見てると、不思議な気ぃするけど。

長い歴史において、ユダヤとムスリムは対立し続けたわけではありません。

時に友好的な関係を結ぶこともあったのです。

これがエゼキエルの墓と言われている。

イスラムではドゥル・キフ神殿と呼ばれているけどね。

そのドゥル・キフとはエゼキエルのことだと考えられているのさ。

今でもユダヤ人がお参りしたりするんやろか。
残念ながら現代ではほとんど無いだろうね。

1948年以降、イスラム諸国から大勢のユダヤ人が脱出した。

個人がこっそり近づくのでもない限り、まともな参拝は難しいだろう。

ビヨンデッタは「友好的な関係」と言ったけど、それは部分的な話だ。

ムスリムはキリスト教徒もユダヤ教徒も「啓典の民」と言って尊重はする。

しかしそれは重税などを受け入れての話で、イスラム教徒の下に置かれるんだ。

信じるもんが違うから言うて、税金重くされるんはかなわんなあ。
啓典の民は「ジズヤ」という税を払って「ズィンマ(保護)」が与えられる。

だから彼らを「ズィンミー(被保護民)」と呼ぶ。

ズィンミーはただ税金を払うだけでなく、日常でも屈辱的な思いをさせられていた。

例えば白いターバンを巻いてはいけないとか、馬に乗ってはいけないとか。

イスラム世界でのユダヤ人は黒のターバンを巻いていた。

馬に乗れないから、ラバとかロバに乗るしかない。

さらにどういうわけか、ムスリムはいつでもズィンミーを殴れたらしい。

「これはお前の父親と先祖のシュタカ(chtaka)」と言って殴ることが出来る。

ユダヤ人の地位も年齢も関係ない慣習としてあったんだとか。

(「イスラム世界におけるユダヤ人の恐怖」田所光男著を参照)

なんやそら。

そんなんされたら、腹立つに決まってるやろ。

蓄積された怒り……。

そして欧州におけるユダヤ人の虐殺。

イスラエル再建のシオニズムはそのようにして生まれたのでしょうね。

現代のイスラエルという国家は様々な問題を抱えている。

世界的な非難を受けることも多い。

それでも彼らはイスラエルという国を絶対に手放せない。

帰る国を失うことへの恐怖は計り知れないものがある。

国があって当たり前の感覚を持つ者たちとは、根底から価値観が異なりますわ。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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