6.ユダ・マカバイの蜂起

エピソード文字数 1,292文字

アポロニオスがサマリアで集めた軍勢を率いて来た。

ユダは迎え撃って彼を打ち殺した。

そしてアポロニオスの剣を奪い取り、生涯それを手にして戦った。

ユダ・マカバイの長い戦いの始まりだ。

最初に戦ったのはアポロニオスと呼ばれる男。

1世紀に書かれた『ユダヤ戦記』の著者ヨセフスによるとサマリアの総督とされる。

敵の剣を奪っとるな。

確かダビデが使ってた剣も、敵のゴリアテから奪ったやつやった。

ひょっとして、そのへん意識しとるんやろか。
どうだろうね。

ただ、彼らにとってダビデが歴史上重要な人物であることは間違いない。

シリア軍の司令官セロンは、ユダに復讐するために出陣した。

彼がベト・ホロンの上り坂に近づいたとき、ユダは寡兵をもって迎え撃った。

この写真は、現代(2018年)のベト・ホロンですわね。

周囲を山に囲まれ、なだらかではない道のりが続いていますわ。

セロンにとって上り坂なら、ユダにとっては下り坂や。

まず地形の優位は獲得したわけやな。

ユダは言った。

「少人数の手で大軍を打ち破ることは難しくない」

「戦いの勝利は天からの力によるものである」

ユダ・マカバイの部下たちは大軍を前に恐れていた。

彼は味方を鼓舞するため、神は自分たちの味方だと言う。

そして対するセロンについては驕りに満ちていると貶した。

語り終えてから彼はセロンの軍勢を急襲した。

ベト・ホロンの下り坂から平野まで追撃した。

ユダの名声は王の耳にまで達した。

雑魚をいくら倒しても無意味でしょうよ。

セレウコス朝シリアの王アンティオコス4世エピファネス。

彼が本腰を入れて、果たしてユダ・マカバイに勝ち目があるのかしら。

まともにぶつかって勝てるわけないね。
ほんなら、うちの出番やな。
残念ながらミカちゃんの出番は無いよ。
なんや、がっかりやで。

せやけど、それやとユダ・マカバイは勝たれへんのちゃうか?

しかし天運はユダ・マカバイに味方した。

アンティオコス4世はそれどころではなかったのさ。

なんですの、この下手な落書きは。
雑な線で申し訳ない。

Googleマップに僕が線を引いたものだよ。

紀元前200年頃のもので、青色の線がセレウコス朝シリアの領域だ。

正確ではないので、だいたいこんなもんかと思ってもらえると嬉しい。

サタニャエルくん、猫の手でよう頑張った。

そんで、青色の線はええんやけど、赤色はなんや?

その名はアルサケス朝パルティア。

後にローマと領地を巡って争う大帝国さ。

パルティア!

それって田中芳樹の『アルスラーン戦記』に出てくるパルスのモデル国やんか。

お姉さまったら。

相変わらず戦のこととなると目の色輝かせて……。

そんなところが大好きですわ。
当時、セレウコス朝シリアはこのアルサケス朝パルティアと衝突していた。

ユダ・マカバイのような小さな反乱にかかずらっている余裕もない。

だから彼自身はペルシアで資金調達に勤しむことになる。

そしてユーフラテス川からエジプトの境までのことはリシアスに一任した。

彼は王の血族で、卓越した人物だったという。

王自身が来れないからと言って、戦力差が大して縮まるわけでもない。

とは言え、戦力がエルサレムに集中されないことは幸運と言えるだろう。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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