4.敗走

エピソード文字数 723文字

イスラエルの子らはモーセとアロンに不平を言った。

曰く、剣で倒されるのなら、エジプトに戻った方が良いのではないか。

それに対し、ヨシュアとカレブが言った。

「偵察してきた土地は素晴らしいところだった」

「彼らは私たちの餌食に過ぎず、彼らを恐れてはならない」

しかし、イスラエルの子らは石を投げて反発した。

モーセもヨシュアも、なかなか民心をまとめきれへんな。

こんな弱い民を引き連れて戦争なんて無謀ちゃうか。

実際のところ、モーセは軍人ではない。

戦いそのものは他の若い人に頼っている。

後継者としてのヨシュアが育つまで、しばらく試行錯誤が続くんだ。
神様はイスラエルの民を疫病で滅ぼすと言った。

しかしモーセがとりなし、神様は「赦す」と言った。

しかし「赦す」のはあくまで忠実であるものだけ。

偵察に行き、悪い情報を流した者たちは疫病で死んだ。

ヨシュアとカレブのみ生き残った。

また自分とこの民を殺しとる……。

なんか慣れてきたっちゅうか、感覚マヒしてきたわ。

そもそもが過酷な環境で暮らしているからね。

そうでなくとも人は大勢死んだろうさ。

イスラエルの子らは、約束の地に進もうとした。

しかしモーセは現時点で、神様が自分たちのうちにいないことを知っていた。

それゆえ、アマレク人とカナン人に倒されると警告した。

しかし人々は構わず上って行き、そして返り討ちとなった。

大局を見ずに目先の感情で動いたら負ける。

当たり前のこっちゃな。

しかし神様がおるんやから、連戦連勝かと思っとったけどな。

かなり苦しい時期が続くやないか。

そこが聖書の魅力かもね。

ただ強い人が強いだけの物語なんて、見たって退屈だろう?

困難があり、それを乗り越える物語こそ王道さ。

可愛い子が可愛いことするだけの物語も好きやで。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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