3.ノアの箱舟

エピソード文字数 1,387文字

神様は人間の心が悪に傾き堕落しているのを見て思った。

「滅ぼそう」

……。
……。
え? これ、マジなん?
まあ、聖書を読むと、明らかに悪魔よりも神様の方が人間を殺してるしね。

ともあれ本当に絶滅させてしまったら、人類の始祖はアダムとエバでは無くなってしまう。

ただ一人、神様を信じて神様の教えに従っている人間だけを残そうとするんだ。

その人物がノア。

アダムの子セト、その子エノシュ……。

そしてケナン - マハラルエル - イェレド - エノク - メトシェラ - レメク

と続いてノアが生まれた。

ノアが500歳の時にセム、ハム、ヤフェトという子を授かる。

500歳のおじいちゃんか……。

頑張ったね。

神話の時代、とんでもない長寿だからね。
神様はノアに言った。

「人間を滅ぼすが、お前は箱舟を作れ。そして中にあらゆる種類の生き物を雄雌で二匹揃えて、箱舟に積み込むように」

ノアは神様に従い箱舟を作り、彼が600歳の時、洪水により大地が水底に沈んだ。

箱舟に乗れた人間はノアとその妻、息子三人とその嫁三人。

息子三人に嫁いだ嫁三人はラッキーやったな。

その嫁三人にも親族はいただろうから、やるせないけどね。
しかし神様も容赦ないな。

40日間洪水起こして、150日以上地面が見えなくなるくらい水浸しにするなんて。

洪水が起こってから150日後に水は減り始めた。

第7の月の17日に箱舟はアララトの山に着いた。

第10の月の1日に山々の頂が現れた。

その40日後にノアはカラスを放した。

カラスは地の面の水が涸れるまで出たり入ったりした。

カラスはん、何してはりますのん。
これたぶん、カラスは太陽の化身ってことなんじゃないかな。
カラスが太陽?

よう分からんのやけど。

日の出と共に現れ、日の入りと共に去るカラスは太陽と関係の深い生き物なんだよ。

日本にもヤタガラスっていう伝説上のカラスがいるでしょ。

あれは太陽の女神アマテラスの使いだから、やっぱり太陽との関係性が強いんだ。

ちなみに三本足で描かれることが多いけれど、古事記にはそんな記述無いんだよね。

「出たり入ったり」は日の出と日の入りか。

まあ、ほんまのところは分からんけど、なんやそれっぽいわな。

ノアはさらに7日待って、鳩を箱舟から放した(2回目)。

鳩は夕方に帰ってきて、オリーブの葉を口にくわえていた。

また7日待って鳩を放したが、鳩はもうノアのところに帰ってこなかった。

洪水が終わって、ようやく人の住める大地が見え始めた。

めでたしめでたしなんだけど、ノアの話はもうちょっと続くんだ。

ノアは農夫となり、ぶどう畑をつくった。

ぶどう酒を飲んで酔っ払い、ノアは裸で寝ていた。

それをノアの子ハムは見て、兄弟のセムとヤフェトに告げる。

セムとヤフェトはノアの裸を見ないようにマントをかけた。

気付いたノアはハムの子カナンにセムとヤフェトの僕になるよう呪いをかけた。

意味分からへん。

明らかに酔っ払って寝てたノアが悪いやんけ。

しかも裸を見た張本人やのうて、その子どもを呪うとか。

ここは読み解きが難しいところだね。

色々解き方はあるみたいだけれど、明確にこれってのは無いんだ。

ただ言えることは、セムはイスラエル人の祖先で、後にカナン人を征服するということ。

つまり、ここで支配の正当化が行われている?
そうかもしれない。

正当化と言うより、単なる帳尻あわせかも。

さすが悪魔。

なかなか不敬なことを言うやないか。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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