16.イスラエル大敗

エピソード文字数 1,210文字

サウルから逃げるダビデは妙案を思いついた。

なんとペリシテ人に匿ってもらうことにしたんだ。

そのためにダビデはガトの王、アキシュのところに行く。

前に狂人の振りをして追い出されたところだね。

確かに敵国に逃げられたら追いかけにくいわな。

追いかけたら全面戦争に突入やで。

ダビデがガトに逃げたという報告を受けて、サウルは追跡を諦めたんだ。
にしても、ダビデはどうしてペリシテ人の中に潜り込めたのかしら。

ペリシテ人にしてみれば、ゴリアテを殺した憎い敵でしょうに。

そう考えるのが自然だね。

だからダビデは自分を信じるよう、アキシュに嘘を言うのさ。

ダビデは部下を連れ、ゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲った。

その度にアキシュに、ユダ人、エラフメエル人、カイン人を襲ったと伝えた。

アキシュはダビデがイスラエルの民を殺したと信じ、ダビデを信頼した。

実際には異国で略奪をしながら、アキシュには同胞を襲ったと説明したんだ。

同胞を殺すほどに追い詰められているのなら、アキシュが信頼するのも理解できる。

情報の裏取りもせんと信頼するとか。

ちょいと用心が足りんかったみたいやな。

ペリシテ人はシュネムに集結して陣を敷いた。

対するサウルはギルボアに陣を敷いたが、心は怯えていた。

そこで霊媒の女を尋ねて、死したサムエルの霊を呼び出した。

サムエルは主の怒りを宣告し、サウルはペリシテ人に敗れると言った。

ところ変わってサウルの場面だ。

彼はペリシテ人との戦争を前にして怖気づき、神に伺いを立てる。

けれど神は沈黙によって応じた。

藁にもすがるサウルは、霊媒師を呼んでサムエルの霊を呼び出したのさ。

喧嘩別れみたいになっとったけど、サウルはサムエルを頼りたかってんな。
せやけど出てきたサムエルにやんや言われて凹んでもうた。

サウルが段々落ちぶれていく感じするわ。

王とは孤独なものなのです。
ペリシテ人は全軍をアフェクに集結させた。

その中にはアキシュもおり、彼に続く形でダビデもいた。

アキシュはダビデを信頼していたが、他のペリシテ人はそうではなかった。

ダビデ、敵側におるやんけ。
このままだと同士討ちになる。

けれど結果的にそうはならなかった。

ペリシテ人たちがダビデの裏切りを恐れたためにね。

ペリシテ人の司令官はダビデを帰すようにアキシュに言った。

アキシュは「正しい人」と評価しながら、ダビデに帰るよう伝えた。

なんとか同士討ちは避けられたんやな。

良かった良かった。

イスラエルの兵たちは敗れた。

サウルの息子ヨナタン、アビナタブ、マルキ・シュアも討ち取られた。

サウルは観念し、自分の剣に身を伏せて自害した。


ペリシテ人はサウルの武具をアシュトレトの神殿に納め、

遺体はベト・シャンの城壁にさらした。

ヨナタン死んでもうたんか。

ダビデは悲しむやろな。

戦争ですもの。

いたし方ありません。

サウルとヨナタンの死はダビデにとって悲しむべきことだった。
しかし同時に、自身の勢力を拡大する絶好の機会ともなった。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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