1.讃美歌

エピソード文字数 847文字

詩編そのものを見る前に、そもそも詩編とは何かを整理しておこう。
おっけーや。
まずタイトルの『詩編』だけどね。

ヘブライ語では「テヒリーム」と言って、これは称賛を意味するんだ。

これが何故『詩編』になったかと言うと、ギリシア語で「プサルモイ」と訳されたから。

「プサルモイ」は器楽、つまり楽器による音楽を意味するね。

なるほど。

そんでその『詩編』はどこの誰さんが書いたものなんや?

『詩編』に含まれる詩は全部で150ある。

それ全部を一人で詠んだわけじゃない。

様々な時代の人物たちが『詩編』の制作者として関与している。

その中で最も多いのがダビデ。

伝承によれば、半分近い73の詩が彼の作とされている。

17世紀、南ネーデルラントの画家ピーテル・ヴァン・リントの作。

中央にいるのは歌って踊って琴を弾くダビデだね。

なんとも多才なキャラクターだ。

右上におるんは、ダビデの嫁さんで先王サウルの娘ミカルやな。

ダヴィデが踊って騒いどるんを見て呆れとったわ。

彼はまさにスーパースターですわね。

武芸に秀で、多芸多才。

周囲がイエス・キリストを他ではない「ダビデの子」と称するのも分かりますわ。

その方が箔が付きますもの。

なんなら「ソロモンの子」とでも呼べばよろしいのに。
今の時代にそれ言うたら、なんか不穏な空気あるな。

いや、系譜的には事実なんやろけどな。

そのソロモンも『詩編』の作者の一人に組み込まれている。

他にはアサフ、コラの子、ヘマン、エタン、モーセの名が連なる。

『詩編』はだいたい、ダビデの時代からマカバイ時代以前の間に作られた。

細かいところで議論はあるみたいだけれど、数百年かけて作られたのには違いない。

近代以降、作者が本当にダビデなのかを疑う学者が増えたみたいだけどね。

そうだとしても、ダビデだと長く信じられてきたことは事実さ。

うちはロマン溢れる方を優先するからな。

『詩編』の作者は誰が何と言おうともダビデやで。

ちなみに『詩編』のことを東方正教会では「聖詠」と呼んでいる。
『戦姫絶唱シンフォギア』の変身シーンで歌うあれやな。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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