天使と悪魔の聖書漫談

8.偽典『ヨベル書』

エピソードの総文字数=815文字

ヨシュアはその後、カナン南部の町をことごとく侵略した。

全ての町は一回の出撃で勝ち取ることが出来た。


カナン北部、ハツォルの王ヤビンは周辺の王たちに声をかけた。

彼らは全軍を率いて出撃した。

一方的やな。

ここまで一方的やと、歴史の華って感じでもないな。

初期の苦戦もあった頃と違い、この辺は聖書も淡々としているね。

ただ戦って、殺して、奪った。

それだけさ。

そしてヨシュアはカナン北部も占領した。

最後の仕上げとして、ヨシュアはアナク人との戦いに乗り出す。

アナク人っちゅうのは、どんな人らなんや?
彼らは『民数記』において「ネフィリムの出だ」と言われる。

ネフィリムというのはつまり「巨人」もしくは「堕天使」のことなんだ。

堕天……。
『創世記』においてネフィリムは「落ちてきた者」と書かれている。

また、洪水の原因を作ったのも彼らとされていた。


なんかとんでもないのがおるな。

ちゅうか、洪水で人は全滅したんとちゃうんか?

『ヨベル書』と呼ばれる聖書がある。

ただし、その内容はほとんどのユダヤ教徒、キリスト教徒に受け入れられなかった。

ずっと偽典として扱われ、放置されてきたんだ。

だから一般的な聖書には収められていない。

研究が進められるようになったのは19世紀以降のことだね。
ふむふむ。

そんで、その『ヨベル書』がどないかしたんか?

何と、神は1割のネフィリムの魂を洪水後も悪魔として存続させた。

迷える人々を最後の審判に導くために。

……ということが書かれているんだ。

神様、またとんでもないことしてくれてるやないか。

しかも、こっそりと。

いずれにせよ、ネフィリムが邪悪な存在であると聖書で見ていることは確かだ。

そしてアナク人はネフィリムの末裔で、ヨシュアにとって邪悪な連中ということになる。

アナク人については分かったわ。

他の征服された国とはちょっと毛色が違ってるわけやな。

しっかし、ヨシュアはやりたい放題やったな。

だいぶ周りに敵作ったんとちゃうか?

……。
まあ、そうだね。

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