39.ポンテオ・ピラトとバラバ・イエス
文字数 1,177文字
「お前はユダヤ人の王か」。
すると、イエスは仰せになった、
「それは、あなたが言っていることである」。
安易に王を名乗れば、それはローマへの反逆の表れと捉えられかねない。
しかしイエスは天の王であって地上の王ではない。
この問答には肯定と否定が組み込まれているんじゃないかな。
その時、バラバ・イエスという、評判の囚人がいた。
ピラトは尋ねた、
「誰を釈放してもらいたいのか。
バラバ・イエスか、それとも、メシアと呼ばれるイエスか」。
そもそも囚人を釈放する習わし自体が不自然だろう?
アメリカの歴史学者マックス・I・ディモントもそこを指摘している。
圧倒的な軍事力を持つローマ帝国が非武装の市民に囚人を解放するだろうか、とね。
その囚人はローマに反抗する危険性があるのに。
ピラトは言った、「それでは、メシアと呼ばれるイエスはどうしたらよいのか」。
人々はみな答えた、「十字架につけろ」。
ピラトは言った、「いったい、あの男がどんな悪事を働いたというのか」。
しかし、人々はますます叫び立てた、「十字架につけろ」。
十字架につけるために引き渡した。