9.アーメン

エピソード文字数 926文字

よく聞くけれど「アーメン」ってどういう意味かしら?
ヘブライ語で「たしかに」という意味だね。

もったいぶった言い方で「かくあれかし」という風になる。

かくあれかし。

カルロ・ゼンの『幼女戦記』で主人公のターニャも使った言葉さ。

神を自称する存在Xを恨む彼女なりの皮肉めいた表現だったのかもね。

神を恐れぬ気高き幼女。

一度、お会いしてみたいわね。

「アーメン」という言葉の初出は『民数記』なんだ。

浮気の疑惑を持たれた妻に呪いをかけ、疑惑が真なら妻の腹は膨れ、足はやせ衰える。

その時に妻が「アーメン、アーメン」と言う。

エジプトの神じゃない。

こいつが、どうかして?

真ん中の一番偉いのがアメン・ラー。

太陽神ラーとテーベの守護神アメンが融合した神様だよ。

彼の名前が「アーメン」の語源なんじゃないかって言う人がいる。

言われてみると確かに似ているわね。
とは言え、『申命記』において「アーメンと言え」と語る場面がある。

唯一の神で、他の神々に浮気することを拒む神が、他の神を呼ばせるのは不自然だ。

だから、普通に考えればアメン・ラーと「アーメン」は関係無いと思うよ。
ラーメンとスパゲッティモンスター程度には近いかもしれなくってよ。
偶像を造るもの、持つものは呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

隣人との境界線を動かすものは呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

盲目の人を迷わせる者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

在留する他国民の権利を侵す者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

獣と交わる者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

姉または妹と寝る者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

義母と寝る者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

密かに隣人を殺す者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

無実の者の血を流す者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

この律法を守らない者は呪われる。民はみな「アーメン」と言え。

「アーメン」だと神秘的な響きだけれど。

実際には「たしかに」って意味でしょう?

要は神の言うことに同意しろっていう、脅迫じゃない。

まあ、そうだね。

「アーメン」は「真実」とか「真理」と訳す方が適している場合もある。

神の言葉は正しいと表明する、信仰の告白でもあるね。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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