5.モーセとアロン

エピソード文字数 904文字

神様がアロンに告げた。

「荒れ野に行ってモーセに会え」と。

アロンはモーセの兄である。

二人は共にエジプトのファラオとの交渉に赴いた。

お兄ちゃんがおったんか。

これは心強いな。

なんだかんだでモーセはずっと孤独だったからね。

妻や子はエジプト外の部族で、同胞ではなかった。

アロンは兄であると同時に、最初の同胞としての協力者なんだ。

せやけど、いきなり交渉に行ったりして大丈夫か。

モーセは殺人の罪で追われてた身とちゃうんか。

モーセを追っていたのは前のエジプト王だからね。

そのへんの引継ぎがうまくいっていないことを祈るばかりさ。

モーセとアロンがファラオに神様の言葉を伝えた。

しかしファラオは神様など知らぬと言い、イスラエルの民の解放を拒んだ。

そして態度を硬化させ、以前にも増して厳しい労苦を与えるようになった。

イスラエルの民はモーセとアロンに言った。

「神様があなた方をよく見て裁かれますように」

「あなた方のせいでファラオに忌み嫌われています」

「あなた方は私たちを殺す剣を彼らに渡したも同然です」

蛇の杖で藪をつついたら、やっぱり蛇が出てきたってところか。

当たり前やけど、そんなうまくいかんもんやな。

モーセはうまくいかなかったことを神様に訴える。

頑張って神様の声をイスラエルの民に届けようとするんだけど、誰も聞いてくれない。

そういう苦難を乗り越えることが大事なんだよ。

モーセとアロンは神様に従って、再度ファラオの元に赴くんだ。

モーセの言葉を受けて、アロンはファラオの前で、杖が蛇に変わる奇跡を見せた。

ファラオは賢者と呪術師を呼び、その秘術で同じことをして見せた。

しかしアロンの杖が賢者や呪術師たちの杖を呑み込んでしまった。

神様の奇跡無しでも杖を蛇に変えられてるやん。

それってどうなん?

正直よく分からないんだけど、最後に勝ったのはアロンの杖だから。

賢者や呪術師たちの秘術よりも、神の奇跡の方が凄いんだぞってことかな。

なるほどなあ。

そんで、負けたファラオはイスラエルの民を解放する気になったんか?

そうはならなかった。

むしろ頑なになって、モーセとアロンの言葉を聞くものかってなってしまった。

でもそれは神様の思惑通りの展開でもあったんだ。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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