14.祭司大虐殺

エピソード文字数 1,174文字

ノブという地にアヒメレクという祭司が住んでいた。

彼はまだダビデとサウルの間に起こったいざこざを知らないでいる。

そこにダビデが「自分は王の命によって来た」と言って現れる。

そしてアヒメレクから食糧のパン、ゴリアテを殺した時の剣を受け取った。

食い物と武器。

身を守る上で必要やしな。

ん?

そこにおるのは誰や?

あれはきっと、サウルの手下でしてよ。

そこそこ戦えそうな男に見えますわ。

その場にはサウルの家来、ドエグがいた。

ダビデはそれに気付き、急ぎその場を離れたんだ。

しかしのちに、ダビデはそれを悔いることになる。
ダビデはノブを発ち、ペリシテ人の地ガトの王アキシュのところに行った。

捕らえられることを恐れたダビデは狂人の振りをした。

ペリシテ人て敵やないか。

そんなとこに潜り込んで大丈夫なんか?

当時のアキシュがどう思っていたかは分からない。

彼は一時的にでも、ダビデの庇護者となる。

けれどアキシュの家来たちがダビデについて騒ぎ始める。

その際にダビデは狂人の振りをして、アキシュに追い出されるんだ。

追い出してくれたんも、アキシュの優しさやったんかな。

王でも庇い切れへんこともあるやろし。

ダビデの周囲には困窮した者や不満を抱く者が集まり、400人ほどの頭(かしら)となった。


その頃サウルは家来のドエグから、アヒメレクがダビデにパンと剣を渡したと聞いた。

サウルはドエグに命じ、アヒメレクを含む祭司85人を討った。

さらにアヒメレクの町ノブを襲い、男女、乳飲み子、家畜を打ち殺させた。

疑心暗鬼に囚われてんのやろな。

アヒメレクが自分を裏切ったとでも思ったんか?

この大虐殺の中、アヒメレクの息子アビアタルは難を逃れた。

そして、ダビデに事の次第を告げた。

ダビデはアビアタルに言った。

「わたしがあなたの父の家の者たちを死なせてしまった」

「わたしと一緒にいなさい。そうすればあなたは安全だ」

アビアタルという人はこの後、ずっとダビデに祭司として仕える。
ダビデ自身はサウルに追われる身ではある。

けれど部下が増えてちょっとした傭兵団のような存在になってきた。

ではさっさとサウルを返り討ちにしなさいな!
無茶言うたらあかんで。

相手はもっと大勢おるんやから、数百人では相手にならへん。

何よりも戦闘経験が浅いんやから、プロの兵士とは戦えへんわ。

はい、お姉さま!
……。
戦闘経験はこれから積んでいく。

まずケイラという町がペリシテ人に襲われていたから、これを助けたんだ。

さらに、迫り来るサウルからは逃げ続けた。

取り囲まれて危ないところまで来るんだけど、運よくペリシテ人の侵略があった。

サウルはペリシテ人と戦うためにダビデの追跡を断念せざるを得なかった。

さすがに侵略されてるんを放置してまでダビデに構ってられへんのやな。
しかしペリシテ人の侵略が「運よく」て。

サタニャエルくんはやっぱり悪魔やなあ。

照れるにゃあ。
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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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