8.モーセ以降最大の預言者エリヤ

エピソード文字数 1,162文字

アメリカのロマン主義の画家、ワシントン・オールストン作。

この絵は預言者エリヤがカラスからパンと肉を受け取っているところだよ。

確かによう見たらカラスが何かくわえとんな。

ぱっと見、死にかけのおっさんに群がるカラスかと思ったわ。

何も知らずに見ればそう思うのも無理ないね。

荒れ果てた大地に、はいつくばる男とくれば、死を連想するだろうさ。

この男、エリヤはどうしてはいつくばっているのかしら。

別に死に掛けているわけではないのでしょう?

はいつくばっているのは、カラスが神の使いだからだよ。

エリヤは神の指示に従って、ヨルダン川東のケリト川まで来た。

神がカラスに命じてエリヤを養っているんだ。

エリヤはここに来る前にアハブに会って旱魃を予言した。

そしてすぐに逃げて来たってわけ。

言われたアハブからしたら、かなわんわな。

なんか偉そうな奴が不吉なこと言って姿をくらますとか。

ピンポンダッシュのようですわ。
2016年にアメリカでピンポンダッシュした男の子が撃たれた事件もあったな。

男の子は重症やったけど、撃った男は正当防衛で逮捕されへんかった。

さすがアメリカって感じだね。
旱魃によりケリト川は涸れてしまった。

主はエリヤにアハブ王支配外の地サレプタに行くよう指示した。

そこでエリヤは一人の未亡人に出会った。

エリヤは彼女にパンを求めた。

けれど彼女は一握りの粉と少量の油しか持たず、こう言ったんだ。

帰って私と息子のためにそれを調理し食べます。

後は死ぬだけです。

「後は死ぬだけ」か。

色んな感情が入り混じって行き着いた果てやろな。

対するエリヤは主の言葉を伝える。

雨が降るその日まで、粉も油も尽きないと。

預言の通り、エリヤと未亡人、その子らは食いつなぐことが出来た。
良かったやん。
しかし未亡人の子供は病で死んでしまった。
栄養失調ですわね。

幼い子供が粉と油で長く生きられるはずもないでしょう。

そこでエリヤが神に願って奇跡を起こす。

なんと子供を生き返らせたんだ。

ルイ・エルサン。

19世紀に活躍し、レジオンドヌール勲章まで受章した新古典派の画家だよ。

この絵はまさに生き返った子供を母親に差し出す場面だ。

……。

なんか似てるな。

そうだろうとも。

かの救世主はまさにエリヤの再来ではないかと言われるのさ。

新約聖書 - リビングバイブル - 『マタイの福音書』より


ピリポ・カイザリヤに行った時、イエスは弟子たちに、「みんなは、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。

弟子たちは答えました。「バプテスマのヨハネだと言う人もいますし、エリヤだと言う人もいます。また、エレミヤだとか、ほかの預言者の一人だとか言う人もいます。」

「では、あなたがたは、どうなのですか。」

シモン・ペテロが答えました。「あなたこそキリスト(ギリシャ語で、救い主)です。生ける神の子です。」

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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