17.パウロとバルナバの宣教

エピソード文字数 1,443文字

パウロの一行はキプロス島からピシディアのアンティオキアに移動した。

そこでパウロは「イスラエル」の人々と「神を畏れ敬う」人々に説教を行う。

つまり、ユダヤ人と無割礼の改宗者たちということだ。

『出エジプト記』『士師記』『サムエル記』に触れてからイエスの話をした。

イエスが罪無くして十字架刑となり、復活したこと。

イエスによって罪が赦され、律法では義とされなかったことも義とされたとね。

今までは豚ちゃんを食べるのもあかん言われとったからな。

そのへん、イエス様のおかげで問題無くなったんやで。

汚れたもんも清められたんや。

それで、その話を聞いた連中はどう反応したのかしら。
なかなかの反響だったらしい。

「町じゅうの人」が集まってきたんだとさ。

しかし、ユダヤ人たちが妬み、人々を煽動してパウロとバルナバを追い払ってしまう。

ユダヤ人たちは、神を崇める貴婦人たちや、町のおもだった人たちを扇動し、

パウロとバルナバに対する迫害を起こし、その地方から二人を追い出した。

二人は彼らに対して足の塵を払い落とし、イコニオンに行った。

足の塵を払い落とし?

慌てて逃げたせいで汚れてもうたんやろか。

そういうわけではない。

ここでは相手の誤った選択を警告する意味があるのさ。

この動作について、イエスの言葉がある。

『マタイによる福音書』第10章14-15節

もしあなた方を受け入れなかったり、あなた方の言葉を聞こうとしない人がいたら、

その家や町から立ち去るとき、足の塵を払い落としなさい。あなた方によく言っておく。

裁きの日には、ソドムやゴモラの地のほうが、その町よりも軽い責め苦ですまされるであろう。

ソドムもゴモラも神の怒りによって滅びましてよ。

それ以上の責め苦だなんて、想像を絶しますわね。

死んだ方がマシってやつかもね。

軽い動作だけど、パウロの怒りがひしと伝わって来る。

イコニオンでも同じように、パウロとバルナバは話をした。

その結果、大勢のユダヤ人やギリシア人が信仰に入った。

ところが信じようとしないユダヤ人たちがそそのかし、町の人々は二つに分かれた。

二人を石打ちにしようとする動きがあり、二人はリストラへと難を逃れた。

あっちこっちで争いを起こしていますわね。

「扇動」しているのは、果たしてどちらなのかしら。

言論の自由もあらへんからな。

言い争いはそのまま戦争に発展してまう。

パウロとバルナバはリストラという町に逃れた。

そこで足の不自由な男に出会う。

パウロは彼に「自分の足でまっすぐ立ちなさい」と言った。

すると奇跡が起きて、男は踊りあがって歩き出したんだ。

群衆はパウロの行ったことを見て、声高く叫んで、リカオニア語で

「神々が人間の姿をとって、わたしたちの所に降って来られた」と言った。

そして、バルナバをゼウスと呼び、パウロをヘルメスと呼んだ。

ゼウスはギリシア神話における主神。

ヘルメスはその息子で、メッセンジャーとしての役割を持ちます。

パウロが主に説教していたため、そのような割り当てになったのかしらね。

ちなみに「解釈学」のことを英語ではヘルメニューティック(hermeneutic)。

これは古代ギリシア語のヘルメーネウティケー(herméneutique)に由来します。

その大元がヘルメスでしてよ。

宣教はうまくいくかに見えた。

しかし、アンティオキアやイコニオンからユダヤ人がやって来て妨害した。

いや、妨害どころかパウロとバルナバを石打ちにしようとさえした。

二人は命からがら脱出して町々で宣教し、最初のアンティオキアへと戻ったんだ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色