1.ディエス・イレ(怒りの日)

エピソード文字数 939文字

その日は怒りの日、苦しみと悩みの日、

滅亡と荒廃の日、闇と暗黒の日、

暗雲と暗闇の日。

城壁に囲まれた町々と高い櫓を攻める角笛と鬨の声の日。

ゼファニヤはユダ王国ヨシヤ王の時代に活躍したと考えられている。

諸国の滅亡についての預言、エルサレムへの裁きと改心。

一連のパターンは他の預言書と同じようなものだね。

『ゼファニヤ書』が後世に及ぼした影響を一つ挙げるとすれば、

中世カトリック聖歌の「ディエス・イレ(Dies Irae)」になる。

『ゼファニヤ書』第1章15-16節のラテン語翻訳さ。

ラテン語で「安息を」を意味するレクイエム。

カトリック教会のミサで用いる曲の一つですわ。

ディエス・イレ(怒りの日)はその一部でしてよ。

Dies iræ, dies illa(日 怒り、日 その)

solvet sæclum in favilla:(壊す この世 in 灰)

teste David cum Sibylla(証人として ダビデ と シビュラの巫女)

Quantus tremor est futurus,(どれほどの 震え/恐怖 が 起こる)

quando judex est venturus,(~するとき 審判者 が 現れる)

cuncta stricte discussurus.(すべて 厳しい 裁く)

お、これ聴いたことあるなあ。

『餓狼伝説2』ヴォルフガング・クラウザーのテーマ曲やんけ。

クラウザーさん、なんか怒ってたんやろか。

それはモーツァルトのレクイエムだね。

あと有名なのはヴェルディのレクイエムもあるよ。

そっちは『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の予告に使われたりしている。

『ゼファニヤ書』の影響は多大やな。
当人の望んだ影響かはさて置き。
『ゼファニヤ書』における「怒りの日」とは「主の日」のことだ。

ゼファニヤは救いのため、主を求め、謙遜であれと呼び掛けた。

高慢な者たちは略奪され、主に従順な者が受け継ぐと言う。

娘シオンよ、喜び叫べ。

イスラエルよ、歓呼の声をあげよ。

娘エルサレムよ、心の底から喜び踊れ。

主はお前に対する裁きを退け、お前の敵を追い払われた。

イスラエルの王、主はお前のただ中におられる。

お前はもはや、災いを恐れることはない。

はてさて。

この願いはいつになれば叶うのかしら。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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