1.主従関係

エピソード文字数 1,242文字

『エフェソの人々への手紙』はパウロがローマの獄中から書いたものとされる。

実際に書いたのはパウロの弟子ではないかという指摘もあるけれど立証はされていない。

その内容はエフェソの信徒たちへの愛情を示すものだと言われている。

『エフェソの人々への手紙』第1章1-2節

神のみ旨によってキリスト・イエスの使徒であるパウロから、

エフェソにいる聖なる人々、キリスト・イエスに結ばれている忠実なみなさんへ。

わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの、恵みと平和があなた方にありますように。

獄中にあるというのに、他人のことを祈っている余裕などありまして?
それもまた、信仰の力やで。
そして長々と説教が続く。

卑猥な話とか、下品な冗談なんかを口にしてはいけない。

感謝に満ちた言葉を口にしろと言う。

老人のお小言ですわ。

聞く価値などございません。

いやいや、大事な言葉やで。

きちんと真面目に生きるには、猥談はやめといた方がええ。

この『エフェソの人々への手紙』で注目すべきは関係性について語っているところだ。

具体的には夫婦関係、親子関係、そして主人と奴隷との主従関係さ。

妻たちよ、主に対するように夫に従いなさい。

夫たちよ、キリストが教会を愛し、教会のためにご自身を渡されたように、妻を愛しなさい。
妻は夫に従い、夫は妻にその身を捧げよ、というのかしら。
フェミニスト神学者キャサリン・ブッシュネルは互いの「服従(subjection)」と評した。

まあ、夫婦が互いに服従するなら平等って感じだ。

子供たちは、主に結ばれた者として両親に従いなさい。

父親たちよ、子供を苛立たせてはなりません。

むしろ、主の精神に基づいた教育と戒めによって、彼らを養い育てなさい。

さすがに親子関係は平等にはならへんな。

せやけど、父親に節制を促してるとこは好感持てるわ。

奴隷たちよ、キリストに対するように畏れおののきをもって、

純真な心で、この世での主人に従いなさい。

主人たちよ、奴隷が善いことを行えば報いを与えるようにしなさい。

脅すようなことはやめなさい。

奴隷との関係の前に語るべきことがあったのではなくて?

友人関係とか、王と臣下の関係とか。

まあ、関係性を全部挙げてったらきりないしな。

もしくは王と臣下の関係も主人と奴隷の関係に含まれるんやろか。

『サムエル記』でもそんな感じのこと言うとったやん。

『サムエル記上』第8章17節

また、あなたたちの羊の十分の一も取る。

こうしてあなたたちは王の奴隷となる。

そこまでの意図があったかどうかは微妙なところかな。

友人関係ならわざわざ勧告するまでもなかったという気もする。

少々厄介な話として、この奴隷の箇所は後世の議論に利用されたらしい。

アメリカ南北戦争における、南部連合の奴隷保有者たちのための正当化にね。

奴隷の在り方からして全く異なります。

比較にはならないでしょうが、言葉だけ取れば奴隷は奴隷ということですわね。

現代から見たらありえん話や。

せやけどその当時、そこにおる人らにとっては自然な「道徳」感なんやろな。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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