1.モーセ誕生

エピソード文字数 916文字

ヨセフを知らない新しい王がファラオとなった。

そしてイスラエルの民を圧迫し始めた。

イスラエルの民が増え、エジプトにおいて強大となったためである。

建築や農耕のあらゆるきびしい労働を課し、イスラエルの民の生活を苦しめた。

あらまっ(Oh My God)

案の定やなあ。

案の定ではあるけれど、理不尽だよね。

とは言えひとつところに別の民族が集まると、どうしたって軋轢は生まれる。

「エジプト人はイスラエルの子らに対して恐怖を抱き」

と聖書にあるように、どんどん増えるイスラエル人は脅威だったんだ。

数が少なければ仲良くできるけれど、国政を脅かすほどになれば無視できないよね。

てか、飢饉も収まったんなら、カナンの地に帰れば良かったんちゃう?
それがそうもいかなかったんだろうね。

実はこの時点ですでにカナンには別の部族が大勢暮らしていたんだ。

そこに無理して帰るよりも文明の進んだエジプトで豊かな生活を送ることを選んだというわけ。

ファラオは助産婦たちに告げた。

「ヘブライ人の赤子が男ならば殺し、女ならば生かせ」

しかし助産婦たちはそれを拒んだ。

次いでファラオは全ての民に告げた。

「ヘブライ人の男の子はナイル川に投げ込み、女の子は生かせ」

子どもの命を間引こうとするやなんて。

許されへんな。

命がとても軽い時代のことではある。

男の子を殺すということは、労働力としても受け入れられなくなったってことかな。

民族として滅ぼすくらいの意気込みだね。

レビの部族内で一人の男の子が生まれた。

三ヶ月ほど隠していたが、隠し切れないとなって頑丈な籠を作り、

そこに入れてナイル河畔の茂みに置いた。

その時、ファラオの娘が水浴びのために来て、籠を見つけた。

娘は男の子をヘブライ人の乳母に育てさせ、大きくなってから自分の養子とした。

そして彼をモーセと名づけた。

ヘブライ人の男の子は殺す、ってファラオが言うても生き延びたんや。

そんだけでもえらい強運やで。

ちなみにここで登場する籠は、ヘブライ語で「テーバー」と言うんだけれど。

実は洪水からノアを助けた箱舟も「テーバー」なんだよ。

規模は全然ちゃうけど、どっちも重要人物の危機を救ってくれたもんやからな。

ひょっとしたら同じくらいの価値を見てるんやろか。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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