7.ゴグマゴグ

エピソード文字数 941文字

主なる神は仰せになる。

メシェクとトバルの偉大な支配者マゴグのゴグよ、お前に制裁を加える。

なんや、藪から棒に。

マゴグのゴグって誰のことやろ。

「マゴグ」という言葉はすでに『創世記』に出ているよ。

ノアの子ヤフェト、その子供とされている。

つまりマゴグはノアの孫にあたる。

『ヨハネの黙示録』にも登場する。

こちらはゴグとマゴグの両方だ。

『ヨハネの黙示録』第20章7-8節

一千年の期間が過ぎると、サタンはその牢獄から解放される。

そして、地の四方にいる諸国の民、ゴグとマゴグを惑わすために出ていき、

彼らを戦いのために召集する。

『創世記』ではマゴグが個人名として。

『エゼキエル書』ではマゴグは地名で、ゴグが個人名。

『ヨハネの黙示録』ではゴグとマゴグ、共に民族名のようですわね。

19世紀ドイツのフランツ・デリッチという神学者は『エゼキエル書』について、

ゴグはリュディアの王ギュゲスがモデルになったのではと推測している。


リュディアはイスラエルよりも北、アナトリア半島で栄えた国だ。

エレクトロン貨という、世界最古の硬貨を発明した。

つまり神様はリュディアに制裁を加えたろ思たってことか。
どうだろうね。

1世紀の歴史家フィラウィウス・ヨセフスはスキタイだと言った。

スキタイはイラン系遊牧騎馬民族のこと。

いずれにせよゴグとマゴグは北からの脅威だってことかな。

聖書にもそんなことが書いてある。

わたしの民イスラエルが平穏に暮らしているこの時に、お前は蜂起し、

騎乗大部隊、大軍からなる一団を伴って、北の果てから侵入しようとしている。

中国大陸におけるモンゴルなど。

北の国の方が強靭な馬が育つようですわね。

日本でも馬の産地と言えば奥州と聞きます。

鉄砲の時代が来るまでは騎兵は戦場の花やからな。

迅速に移動して、敵に痛打を与える最強の戦力や。

このゴグとマゴグは、英国の民話にも影響していると言われることがある。

ゴグマゴグという名前の巨人がそれだ。

ゴグマゴグは『ブリタニア列王史』で、コリネウスに崖から突き落とされて死ぬ。

様々な説はあるだろうけど、ゴグとマゴグ……

もしくはゴグマゴグは邪悪な敵役としての地位を得たということさ。

わたしはマゴグと島々で安逸を貪る者たちに火を差し向ける。

その時、わたしが主であることを彼らは知るだろう。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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