2.イザヤ書について

エピソード文字数 1,115文字

『イザヤ書』言うて、そもそもイザヤってのは誰なんや?

山本七平のことか?

神戸市中央区山本通で生まれたユダヤ人という設定の人ではないよ。

イザヤは紀元前8世紀頃に活躍した預言者のことだ。

『列王記』にも登場してたよね。

ユダ国王マナセによってイザヤは引き裂き刑に処せられた。

マナセはバアルを信仰していて、主の預言者たちを大勢殺した。

「罪のない者の血を大量に流し、エルサレムを端から端まで満たした」

とかいう、あれですわね。

それで?

『イザヤ書』というのは、その者が書いた書物ということかしら。

伝統的にはそう言われてきたね。

ただ、確実にイザヤの生きていない時代のことまで書かれている。

それをかつてはイザヤが未来を預言したのだと言っていた。

今でもそうだと言う人もいるらしい。

実際には、後の人たちが加筆したものだろうと思うよ。

でも未来のことまで預言してたとか。

そっちの方が絶対おもろいやん。

ノストラダムスの大予言、みたいな。
ミシェル・ノストラダムス。

ルネサンス期フランスの医師、占星術師、詩人、料理研究家。

2000年以降はとんと名前を聞かぬようになりましたわね。

彼の大予言は、言葉の解釈次第なところがあったしね。

「西欧の最も奥深くの貧しい人々から一人の若者が生まれ、その弁舌によって大群衆を扇動し……」

「恥知らずで大胆なとても喧しい人物が、軍の統率者に選ばれるだろう……」

例えばこういった彼の詩が、アドルフ・ヒトラーについての予言と言われる。

なんとも……。

どうとでも言える言葉でああだこうだと見苦しい。

そもそも、ヒトラーはさほど貧しい生まれはありませんわよ。

絵描きを目指す程度にはゆとりがあったでしょうに。

『イザヤ書』もまた、ある言葉が議論のネタとなっているんだ。

『イザヤ書』第41章1節

見よ、わたしが支えるわたしの僕(しもべ)を、

わたしの魂が喜びとする、わたしが選んだ者を。

わたしはわたしの霊を彼の上に置く。

彼は諸国に正しい法を輝かせる。

なるほど。

これは、これは……。

救世主様やないか!
『イザヤ書』はいわゆる「旧約聖書」の一書だ。

けれど「新約聖書」以降のキリスト教徒から見て、この箇所はとても重要だった。

「わたし」こと主、その僕(しもべ)とはイエス・キリストを意味するのだとして。

イエス・キリスト誕生の預言やとしたら……。

ノストラダムスどころやあらへんな。

1999年に世界は滅亡せえへんかったし。

ユダヤ教徒にしてみればもちろんそれは誤りだ。

彼らにとってイエス・キリストは救い主ではなかった。

しかしこの箇所にメシア的な人物を見ているのは同じだ。

『イザヤ書』は過去の歴史、未来の預言というダイナミックな構成を持っている。

詩的でもあり、読み応えはあるね。

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登場人物紹介

【ミカ】(性別:無性 時々 男性)

神様の命令で人々を見守ることになった大天使ミカエル。サタニャエルくんに色々教えてもらう生徒役。ただ何も知らないお馬鹿ではなく、それなりに常識人。特に戦争に関することはなかなか詳しい。無意味な殺戮は嫌うが、戦争そのものは悪と見做さない。ビヨンデッタの作った「ケーキ」にトラウマがある。


(うんちく)

その名は「神に似たるものは誰か」という意味を持つ。ミカエルはMa-Ha-Elと分解され、「偉大なる神」の意味ともされる。天軍の総帥であり、右手に剣を持った姿で描かれる。


聖書において天使の翼に関する記述は無い。その造形はギリシア神話における勝利の女神ニケ(Nike)が由来であると考えられている。


ミカエル、最大の見せ場は新約聖書『ヨハネの黙示録』12である。そこには以下のような記載がある。

「かくて天に戰爭おこれり、ミカエル及びその使たち龍とたたかふ。龍もその使たちも之と戰ひしが、勝つこと能はず、天には、はや其の居る所なかりき。かの大なる龍、すなわち惡魔と呼ばれ、サタンと呼ばれたる全世界をまどはす古き蛇は落され、地に落され、その使たちも共に落されたり。」

おそらくは翼の生えた勝利の女神と、戦争における戦士の姿とが融合され、現代におけるミカエルのイメージを形作ったのであろう。

【サタニャエル】(性別:???)

ミカちゃん一人だと心配なので付いて来た。色んなことに詳しい黒猫。「サタニャエル」を名乗っているが、悪魔サタナエルと同一視されるかは謎。ビヨンデッタから「サマエル」と呼ばれてもおり、そうであれば楽園でイヴを誘惑した蛇であるとも言える。非常に好奇心旺盛で勉強熱心。たまに悪魔っぽいが、基本的には常識的。


(うんちく)

「猫に九生有り」のことわざは、高いところから落ちてもうまく着地してしぶとく生き残る、タフさから来ていると考えられる。何故「九生」なのかは定説は無いが、エジプト神話の猫頭の女神バステトが九つの魂を持っていたことに由来するのではないか、と言われる。そのようにしぶとい猫を殺すには「好奇心」が効果的であるとことわざは言う(「好奇心は猫を殺す」)。つまり人に知恵を与えたサマエルが、その罪によって神の罰を受けることの暗示として、サタニャエルというキャラクタは造られている。


サマエルは「神の悪意」という意味を持つ。12枚の翼を持つことから、堕天使ルシファーとも同一視される。

【ビヨンデッタ】(性別:男性 or 女性)

ミカを「お姉さま」と慕う悪魔の少女。その正体はソロモン72柱序列第1位ともされる魔王ベルゼブブ。ニーチェを好み、強き者が強くある世界こそが最も美しいと考えている。人間を「草」と呼び、その愚鈍さを嘲笑する。


(うんちく)

作中にあるように、ベルゼブブの由来はウガリット神話における豊穣の神バアル・ゼブル。バアルの信仰は旧約聖書において偶像崇拝として忌み嫌われ、度々敵対した。バアル・ゼブルをバアル・ゼブブと読み替えることで、その意味を「気高き主」から「蠅の王」へと貶めた。


「ビヨンデッタ」の名前は幻想小説の父J・カゾットの『悪魔の恋』に由来する。主人公のアルヴァーレは知的好奇心により悪魔ベルゼブブを呼び寄せ、そのベルゼブブは「ビヨンデット」という名の少年として彼に仕えた。やがて「ビヨンデット」は「ビヨンデッタ」という少女となり、アルヴァーレに強く愛を語る。そしてアルヴァーレは苦悩の末にビヨンデッタを愛してしまう。あまりにあっけない結末についてはここで語らない。


ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』は死の象徴として蠅が描かれる。また、理性を凌駕する闘争心は豚の首として表れた。作中でビヨンデッタが豚肉を好んでいるのも、そうした背景による。

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